金融庁が令和4年に発表した「金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等」によると、投資や金融に関する相談件数は年々増加しており、特に最近増えているのが、投資に関連するトラブルの増加だという。
投資といっても、金融商品だけでなく「自己投資」という形で資格の習得や自己啓発セミナーなどのセミナーに大金を投じる人も少なくない。今回は、そんな自己啓発セミナーにのめり込み大金を失った主婦の悲劇をリポートする。
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青木可奈（仮名、32歳）は、二年前に結婚した夫との二人暮らし。結婚を期に仕事を辞め、現在は得意の手芸作品をフリマアプリなどに出品し小遣い稼ぎをしている。
可奈の夫が、彼女の異変に気がついたのは約半年前のことだ。
「彼女の身なりが急に変わり、しかも金遣いが荒くなってきたんです……。」
こう答えるのは、彼女の夫の隆（33歳）だ。
彼はフリーランスで働くWEBエンジニアで、今は自宅でフルリモートの仕事をして働いている。もともと技術力の高い彼は、普通のサラリーマンよりも多く稼いできた。
彼女とは美大の同級生として長年付き合い、結婚に至ったのだという。
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可奈の家族や友人によると、彼女はもともと素朴な雰囲気で身なりも派手ではなかった。
メイクも地味で、いつも自分で手作りをしたアクセサリーや衣類などを身につけており、学生時代から、あまり目立たない存在だった。
しかし、半年前から可奈はすっかり変わってしまった。
まず、真っ黒だった髪をべージュ系の明るい髪色に変え、直毛だった髪も、パーマをかけたのか、華やかな印象のヘアスタイルに変えてしまった…。
また、メイクもこれまでドラッグストアで購入したプチプラ化粧品を使っていたが、いわゆるデパコスに変え、外資系の化粧品でメイクをするようになり、どこか人を見下すような視線を送ってくるようになる。
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ある日、隆がクレジットカードの請求書を見ると、次回の引き落とし金額が50万円近くにまで増えていた。
驚いてカードの明細を見ると、可奈の家族カードの利用明細が40万円程あった。
その内訳は、美容室やデパートでの買い物のほか、複数回にわたって【KRゴウドウガイシャ/セミナー】（仮名）と書かれている。
彼が可奈に問いただすと、彼女は「自分磨きのセミナー」に参加するために1回15万円のセミナー費用を2回支払い、カードを使ってしまったのだという。仕事のPRの戦略コンサルや、新規お客さんの紹介もそのセミナーで受けたというのだ。
可奈は夫に問いただされて、すっかり落ち込んでいる様子だ。
「まあ、これまで何も贅沢をしなかったのだから、一回くらいは良いだろう」と、隆もあまり怒ることはなかった。もちろん利息分は無駄だったが、支払いの厳しい部分についてはカードの分割払いを利用することにした。
しかし、その1ヶ月後、またもや多額のカード請求が夫の元に届くのだった…。
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「ちゃんと、二人で約束をしたのに。翌月には100万円近いカード明細が上がってきたんです…。」
最初はカードの不正利用を疑ったが、明細を開けてみると、またもや可奈が多額のカード利用をしていることが分かった。
その内訳は、前回と同じくデパートや美容室やネイルサロンでの利用のほか、またもや【KRゴウドウガイシャ/セミナー】と書かれているではないか。
彼は可奈に問いただす前に、【KRゴウドウガイシャ】という会社について調べてみることにした。
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検索で上がってきたのは、女性を対象にした自己啓発セミナーのホームページだった。
クリックしてみると、トップページには派手な身なりをした女性の写真がアップされており、なんとなく可奈のメイクや髪型に似ていることに気がついた。
「これは大変なことになった」背筋に寒いものが走り、洗脳されている愛妻をどう奪還するのか、隆は考えを巡らせた。☆次回では、自分磨きのセミナーから愛妻を奪還した夫の戦略を詳細にレポートする。ぜひ反面教師として読み進めてほしい☆
ライター 旺文順子
