二度と実現させるのが不可能な仰天コラボ!
幅広いアイテムを披露してくれた神藤光太郎さんに続いて登場するのは、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」から独立し、自身の会社を立ち上げた小木"Poggy"基史さん。
Poggyが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第1回目は、「ビリオネアボーイズクラブ×ターンブル&アッサー(Billionaire Boys Club×Turnbull&Asser)」のシャツです。
今でこそ普通になりましたが、かつてはストリート発のブランドがジャケットをリリースするなど、ドレスと交わることとかがほとんどありませんでした。
これは、2010年頃の話ですが、自分が「リカー、ウーマン&ティアーズ」の後に、ユナイテッドアローズ本体に戻って、重松(ユナイテッドアローズの名誉会長)さんから「昔のユナイテッドアローズは色々なものが混ざりあっていたように、小木のテイストで変えてみてもいいんじゃないか」とのご提案を受け、そういった商材のバイヤーをやらせて貰うことになるんです。
そのときに、何店舗かでファレル・ウィリアムスとNIGOさんが手掛けていた「ビリオネア ボーイズ クラブ(BILLIONAIRE BOYS CLUB®)」を展開し始めるんですが、そんな中で買い付けた「ターンブル&アッサー」とのコラボシャツです。
もともとファレルもNIGOさんも「ターンブル&アッサー」が好きで個人的にオーダーもしてたりしてまして、「別注したい」とブランドに掛け合ったそうなんですが、なかなか本国からOKが出なかったそうなんです。
ところがニューヨークの「ターンブル&アッサー」にファレルの熱狂的なファンがいて、彼の後押しもあって実現したコラボです。
スケシン(Sk8ightTing/スケートシング)さんが、「ビリオネア ボーイズ クラブ」のためにデザインしたワッペンが胸に貼ってあったり、袖には腕時計のプリントがしてあります。
この時計プリントは、フィアットの元名誉会長だったジャンニ・アニエリがシャツの上から時計をする姿をモチーフにしているんですが、今考えたらこのコラボって、改めてスゴかったんだなって。
あの「ターンブル&アッサー」にワッペンを作らせたり、プリントさせたりっていうのもスゴいし、それを商品として世に送り出したっていうのが、またスゴい!
このシャツは「ビリオネア ボーイズ クラブ」側ではストライプ、ユナイテッドアローズ側ではハケメの別注を展開させて貰いました。
こんなおバカなことが実現できたのは思い出深いんですが、実際のところは あまり売れませんでした……。値段が結構高額だったので。
自分は気に入ってるので、ちょくちょく袖を通していますし、これからも着続けますが、こんなコラボは恐らく二度と実現しない気がするので、絶対に捨てないと思います!
Photo:Naoto Otsubo
Edit:Ryutaro Yanaka
FASHION DIRECTOR
1997年、ユナイテッドアローズにてアルバイトからキャリアをスタートし、2006年には伝説のショップ「リカー、ウーマン&ティアーズ」を立ち上げ、ディレクターを務める。2015,16年には2年連続で「HYPEBEAST 100」に選出。 2018年独立し、10年に立ち上げたユナイテッドアローズ&サンズのディレクターを勤めながら、さまざまなコラボレーションやパリにて「POGGY’S BOX」と銘打たれた展示会の開催など、これからの動向に注目が集まるファッションアイコンの一人。1976年 北海道札幌市生まれ。
Photo:Jonathan Daniel Pryce, GarconJon.com