クロアチアで生まれ、 ルイ14世が広めた
GW真っ只中、スーツを着る機会のないこんな時こそ、ビジネスマンの相棒、「ネクタイ」について思いを馳せてみませんか。
ネクタイの起源は諸説ありますが、最も有力な説は17世紀の「30年戦争」に遡るもの。
ドイツ(神聖ローマ帝国)を中心に行われたキリスト教をめぐる宗教戦争は、次第にスペインのハプスブルグ家とフランスのブルボン家との覇権争いの様相を呈し、全ヨーロッパに波及しました。この時代、各国は自前の軍隊を持たずに、傭兵を雇っていました。
当時のフランス王、ルイ14世はクロアチア人の傭兵が首に巻き付けている布きれに興味をそそられます。

この布きれは、故郷の恋人や母親が、戦士の武運と身の安全を祈る「お守り」として託したものでした。ルイ14世が真似して巻き付けるようになったこの布きれは、フランス語でクロアチアを意味する「クロバット」と呼ばれ、流行し始めます。当時は身分の高い人ほど、複雑なノット(結び目)で着飾ったのです。今日的な意味でのネクタイの誕生です。

棒タイやアスコットタイなど、今日ではさまざまなネクタイが私たちを楽しませてくれますが、そんなネクタイの起源が「戦士の無事」を願う女性の想いにあるということは、ロマンチックであり、悲壮感もある物語です。ネクタイの部位に大剣、小剣という名前がついているのも、それが戦場に由来するから。
30年戦争から約400年。クロアチア兵のお守りから生まれたネクタイは、ビジネスの現場で戦う男たちの首元を、今日も守っているのです。時として窮屈さの象徴としされるネクタイも、その起源を知れば、愛着が湧いてくる気がしませんか。
Photo:getty images
Text:FORZA STYLE
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