2018年頃から急増し始めた女性用風俗、通称「女風」。現在、全国には500店舗ほどの女風が存在すると言われている。男性セラピストたちは、魅力的な容姿を持つ20~30代の男性がメインだ。
彼らは約3か月の座学研修(接客マナー、コース別施術の流れ、営業方法)と実技研修(先輩セラピストとともに、モニター女性客に性感マッサージをする等)を終えてセラピストデビューに至るのだが、女性客に至福のひと時を味わってもらうはずが、時に思いもよらないトラブルへと発展することもある。
今回はそんな、女性用風俗でのトラブルをご紹介したい。
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取材に応じてくれたのは、都内の女性用風俗店「N」に所属するカズマさん(仮名・28歳)。
化粧品メーカーで働く傍ら「兼業セラピスト」として働き始めたカズマさんは、日に焼けた肌と白い歯でスポーティーな雰囲気だ。学生時代はバドミントン、バスケットボール、陸上など様々なスポーツをしてきたという。セラピスト歴は5か月だ。
カズマさんは語る。
「セラピストになったきっかけは、本業の残業が減り、生活費を得たかったからです。会社には秘密で、平日の夜と土日にセラピストとして活動しています。ネットで副業を検索していた際、『昼職を持つ兼業セラピストのほうが圧倒的に多い』と知り、思いきって女風の世界に飛び込みました。
セラピストとしての収入は、多い時で月15万円ほど。まだまだ少額ですが、指名をくれるお客様が徐々に増えているので、月収20万を目標にしています。
ただ……いま、すごく身の危険を感じているんです」
身の危険とは、いったい何だろう。
「お客様がストーカー化してしまって……。月に2~3回、ロングコースで指名をくれるシオリさんという女性です。ある日、『面白いアプリがあるから、カズマくんにもインストールしてあげる』と言われ、一瞬だけシオリさんにスマホを渡してしまったんですね。それがトラブルの始まりでした」
インストールされたのは、歴史好きのカズマさんが特に好きだという戦国時代を舞台としたゲームアプリだった。が、彼女が設定したのはそれだけではなかった。
「知らない間に、位置情報を共有できるGPSアプリをインストールされていたんです。全く気づかないまま生活していたので、シオリさんに僕の住所や勤務先までバレてしまって……。
最初は僕の自宅マンションの近くでした。すれ違った際に『あら、偶然ね』と涼しい顔で挨拶をされて、ゾッとしながらも会釈をしたのですが、今度は会社近くのカフェで打ち合わせをしていた時、シオリさんも同じカフェに入ってきて……さすがにおかしいと思い、次に指名をもらった時、シオリさんの機嫌を損ねないよう控えめに伝えたんです。
『最近、立て続けに遭遇するので驚いています』と、あくまでも笑顔で……。すると、『ごめんね。カズマくんも私のこと好きだと言ってくれたから、あの時、GPSアプリをインストールしちゃったの』とニッコリされて」