昨年、頂き少女リリちゃんに続き、高齢者を相手に元看護師の女性が自称投資家と結託して、お金を騙し取った事件の初公判が開かれた。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「経緯はどうあれ、世の中にうまい話はないと改めて思わされます。さらにこの事件では、高齢者たちがマッチングアプリを使って、被告人と連絡をとっているということにも注目が集まっています。性欲と言いますか、恋愛欲と言いますか…、いくつになっても衰えないものなのかもしれません」。
さらに気になるのが自称投資家の存在だ。
「主犯への刑罰がどれくらいになるのか、その辺りもかなり気になりますね。多くの人は、自称〇〇になんて騙されない!と思っているでしょう。でも、人は意外と簡単に騙されたりするものです。相手は言葉巧みにこちらを勧誘してきます。どんなことであってもまず、自分で調べて勉強をしてから始めないと痛い目をみますよ」。
今回お届けするのは、そんな自称普通の主婦を名乗る人物に踊らされてしまったある女性の話だ。
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坪田涼子さん(仮名・36歳)は、子供2人と夫と暮らしている。
「今年の春に下の子を産みました。今は育休中です。正直、今の稼ぎで子供2人を育てていくのはなかなか大変だなと思っているところ。物価は上がり続けていますし、副業を勧める声も多いですよね」。
そんな涼子さんは、育休中にある決断をする。
「副業としてX運用を頑張ってみようかなって。きっかけは友達がインスタ運用でお小遣いを稼いでいるという話を聞いたことでした。友達は普通の仕事ができていれば、お小遣いくらいは楽勝と話をしていました。それならとX運用を選んだんです。インスタだと友達と同じ土俵になっちゃうでしょ?」。
運用をしようと決めて、涼子さんはアカウントを新設した。運用について調べ始めるとこれまでのタイムラインとはまるで異なる世界が現れた。
「自分がプライベートで使っていたアカウントは、子育てあるあるをポストするとか芸能人を主にフォローしていたのでほっこりするものだったんですが、 X運用界隈にきたらまるで別世界。1日で30万円売り上げたとか、1億越えでFIRE達成とか…まるで漫画のような世界が広がっていたんです」。
涼子さんももちろん、そのすべてを鵜呑みにしたわけではない。
「嘘だろって思いました。だから初めは誰もフォローせずに見守っていたんですが…ある人に出会ったことで人生が変わりました」。
その人とは普通のママを名乗る人だったという。
「彼女のポストはなんていうか、すごく身近な内容だったんです。それでポストを追うようになり、フォローをしました。主張としてはきちんとやれば、きちんと稼げるようになるというもの。確かに彼女を追っていると本当にそうなれそうな気持ちになるんです。おかしいですよね、まだ何もしていないのになんとなく稼げそうと思ってしまうんですから」。
とはいえ、涼子さんが情報商材に手を出すことはなかった。
「この頃はまだ、彼女のポストにコメントをしたり、その周りに群れた人とコメントのやりとりをすることを楽しんでいました。運用しようとは思っていたもののすっかり友達作りみたいになっていたんです。今思えば、それが大きな罠でもあったんですけど…」。
一気に世界が変わったのは、彼女が情報商材を紹介したときだ。
「とある情報商材を手に入れて運用したら、これだけの成果が出た!というポストを彼女が盛んにアップし始めたんです。彼女はその情報商材を勧めるようになりました。