コンサルタント会社の倒産数が過去最高に達したとの報道が話題になっている。
コンサルタントといえば、シンクタンクや金融系の士業などさまざま。一般企業における事業の課題解決を支援するイメージだが、最近では個人の副業分野でも「コンサル」界隈が賑やかだ。
いわゆるセトリやSNS集客コンサルのブログや動画に魅入られ、セミナーや情報商材などに多額の課金をする人もいると聞く。
副業コンサルの見極め方について、危機管理を専門とする平塚俊樹氏はこう指摘する。
「長引く経済不安で先行き不透明な昨今、会社員の間でも副業を始める人が増えています。
こうした傾向には頼もしさを感じる反面、心配なのは、頑張って少しでも収入を増やそうとする人の心理に巧妙につけ込む『自称コンサル』の面々です。
国民生活センターでも『情報商材をきっかけに、電話やWeb会議で高額な副業コンサルティングやサポート契約、ビジネスセミナー等を勧誘されるケース』が目立つと警鐘を鳴らしています。
副業で収入を増やすつもりが大損……などということにならないよう、そして大切な家族を巻き込まないよう注意してください」
さて、今回は、ブログコンサルで恐らく詐欺に遭ったにも関わらずそれを認めない夫とその妻の話だ。
「私の言うことに耳を貸したら自分が詐欺に遭ったことを認めてしまいそうで、引き下がれなくなっているんだと思います」
首都圏で2人の小学生を育てている中条桃絵さん(仮名)は語る。夫婦ともに44歳の会社員だという。
「気づいた時には手遅れという感じでした。
最初、夫はよくある無料ブログで趣味のアウトドアのことを書いてアップしていました。
私は最初の2記事だけ付き合いで読んで『いいね、面白いじゃん』とおだてていましたが、正直文章も読みづらいし大して面白くもなかった。
打ち込める趣味ができて良かったね、くらいにしか思っていませんでした」
ところが夫は、桃絵さんが気づかぬうちに、ブログで大きく稼ぎたいという秘かな野望を膨らませていた。
「そのまま大人しく趣味に留めておけば良かったのに、連携させていたSNSでフォロワーが増えたり、時たまちょっと拡散されたりしたことに手応えを感じて調子に乗ったらしいんです」
ある日夫は、もっとブログに本腰を入れて収益が出るようにしたいと言い始めたのだそう。
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「ブログで収益が出る仕組みがよくわからなかった私は、『あ、そうなの。頑張って』なんて生返事をしていたんですね。
ブログって、芸能人が書いてよくネットニュースのネタになっていますよね。広告がついて読まれたら収益が出るとかそういうことなんでしょうけど。
一般人のほぼ日記のような駄文を誰が読むっていうんだろう、と内心バカにしてました」
夫は子供の頃ボーイスカウトに所属しており、アウトドアについて幅広い知識を持っていたという。また釣りもうまく、技術・道具・釣り場などについても博識なのだとか。
「たまにSNSでつぶやいたアウトドアのちょっとした裏ワザなどが結構拡散されたこともあったようです。で、ブログも徐々に閲覧数が増えている!とか言って喜んでいました」
仕事から帰ると、食事もそこそこに、すぐ自分の机でPCを立ち上げて作業に没頭するようになった夫。
「分析ツールみたいなやつで、どんな記事が読まれてるとか、どんな地域の人が読んでくれてるとか、毎日チェックして私に報告してきました。
適当にあしらっていましたが、その間にも本人はどんどん本気になっていたんですね」
ある時、桃絵さんは夫が誰かとオンラインで会話している姿を見た。
「うちの夫の仕事でオンライン会議なんて聞いたこともないので、不思議に思って『あれ誰なの?』と聞いてみると、ブログで凄い実績をあげてる先輩のような人だ、と説明されたんです」
ブログで凄い実績をあげている先輩と聞き、SNSか何かで知り合った共通の趣味を持つ人物なのだろうか、と思った桃絵さん。
「後で知ったのですが、あながち私の推理は外れていたわけでもなく、その人物はSNSのダイレクトメールで夫に近づいてきたらしいです。でも、ただのブログの先輩じゃなさそうでした」
ブログに対する夫の熱の入れようには、この男が関わっているのではないかと直感した桃絵さん。
久々にチェックしてみた夫のSNSのプロフィール欄には「まずはブログで5ケタの収益目指します!」という目標がわざわざ掲げられていたという。
「自分から『カモはここにいますよ』と言っているようなものですよね。それもあって簡単に自称コンサルに目を付けられてしまったんじゃないでしょうか」