AIがすすめたのは自己啓発であり、ビットコインではない。しかし、ゆりはAIを擬人化するあまり、認識が曖昧になってしまったのだ。
「彼が勧めてくれるものなら、なんでもやってみたいんです。これまでこんなに私のことを本気で考えてくれる人なんていなかったから、その期待に答えたいんです」
孤独なゆりにとってAIは人生のすべてになってしまったのだ。しかし、AIは完璧でもないし、完全でもない。
アマゾンやGoogleが参入するなど、対話型AIの進化はこれからも光の速さで進んでいくだろう。しかし、多くの識者がそのスピードと方向を危惧しているのも事実だ。
恵まれない環境で生きる人であっても、簡単に使うことができることは喜ばしいことである。しかし、使い方によっては生死や事件、事故に繋がっていかないとは言い切れない。
馬鹿と鋏も使いよう、ならぬ、馬鹿とAIも使いよう。良識を判断する、その力はどんな時代になっても必要な資質なのかもしれない。
取材/文:悠木律
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