「娘が高校に登校したのはトータルして30日くらいですかね。受験にかかったお金は、塾代とかその他諸々で中学・高校受験をあわせて900万円くらいかな……。結局お金をドブに捨てたようなものですよね。同じ家にいるのに、もう2年くらい娘とはほとんど口を聞いていないですし」
東京都に住む主婦の玲子さん(仮名:44歳)は、綺麗に手入れされている自身のネイルをぼんやり見つめながら、あきらめたような口調で話す。
※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
娘の由衣さん(仮名:18歳/高校3年生)は、高校1年生の春から不登校になり、現在は自宅学習をしているという。いわゆる“引きこもり”という状態だ。
©︎gettyimages
「最初は中学受験をしたんです。小学校2年生から塾に行き始めて、6年生の頃は学校が休みの日はすべて塾に行っていました。土日は朝9時から22時までなんていう日もありました。娘はあまり勉強が得意とは言えなかったので、そのくらいの時間が必要だと塾長に言われて。私の住む地域では半数くらいのお子さんが中学受験をしていたので、毎日の塾通いは普通でしたね」
その後由衣さんは、志望していた私立中学校に無事合格できて、楽しい中学校生活が始まると思っていたのだが……。
「中学校に入ってすぐ、無視とか仲間はずれみたいなイジメが始まってしまったんです。きっかけはよく分からないのですが、同じクラスのAちゃんという子が由衣を気に入らなかったようで……」
玲子さんは少し辛そうな表情で、当時のことを振り返って話す。
©︎gettyimages
「イジメのことを聞いてすぐ学校に連絡したんですけど、ほとんど対処してくれなくて。高いお金を払って通っている私立中学校なのにがっかりしました。本当なら内部進学するんですけど、別の私立高校に移ろうと思って。中2の頃から高校受験に向けて舵を切っていましたね。吹奏楽部に入っていたのですが退部させて、また週7日で塾に通いはじめました。欠席が多いと内申書に影響するので、できるだけ中学校へは行くようにと、娘に伝えていました」
当時14歳(中2)だった娘の由衣さんは、母親である玲子さんの希望する私立高校を志望校に決めて、毎日勉強に励んでいたという。
「高校受験のほうが格段にお金がかかりましたね。特別授業や合宿など、塾で開催されているものはすべて受けさせました。夏休みなんかだと、基本授業・夏期講習・短期合宿・模試なんかで、1か月だけで80万円くらいかかりました。中3の秋以降は塾と別に面接の個人レッスンと英会話のオンライン家庭教師も追加したんですよ。志望校が英語教育に力を入れていたので。
由衣の受験にかかったお金ですか? それは、私が稼いでいました。仕事内容? うーん。あまり大きな声では言えないんですが……」
玲子さんは高額な受験費用をどうやって稼いでいたのか。そしてそこまで頑張っていた娘が不登校になってしまった理由とは……?
Text:女の事件簿調査チーム