今年のゴールデンウィークは久しぶりに家族で旅行できそう。本当は海外に行きたいけど、円安だからやっぱり国内よね……。沖縄、石垣島なんてどうかな。5月の北海道も季節的に良さそう。九州のあちこちを巡る旅も楽しそうだし……。
由美子はスマホやPCであちこちのサイトを開き、GWの旅行プランを練っていた。
昔から、旅行の計画を立てるのは好きだ。独身時代は一人でふらっと海外にもよく行っていた。
でも、最近は時々しんどく感じることもある。
「なんで私が、1人で全責任を負わないといけないの?」
家族旅行のプランニングは、由美子の担当になっている。夫である光一は毎回、「俺は旅行の計画とか苦手だから、由美子に任せるよ」と言って、のらりくらりとその役割を放棄する。
由美子は子どもたちと相談しつつ、行き先を選定し、宿泊先や交通手段を考える。もちろん、湯水のようにお金を注ぎ込めるわけはなく、ほどよいランクの宿や食事を、できるだけリーズナブルに……。
いろんな旅行サイトのプランを比較して検討に検討を重ねる。
それでようやく「これで予約しようと思う」と光一に連絡すると……
「なんか、宿のレベルの割に高くない?」
「せっかくだからもっと広い部屋にしようよ」
「飛行機、ちょっと朝早すぎて辛いんだけど?」
「やっぱり沖縄じゃなくて、北海道にしない?」
光一は勝手気ままに思いついたことを口にして、結局最初からやり直しになるのだ。
そもそも、家族で旅行するためには、子ども達のリクエストはもちろんのこと、学校の予定も確認しないといけない。5月1日、2日って学校あるのかしら?あれ?亮介の学校って6日の土曜日もあるの?
中学校に入ったばかり長男と、まだ小学校の次男。学校が別々になると、その予定の確認だけでも一苦労なのに……。
もし由美子が専業主婦で、夫がすべてのお金を負担し、予算も潤沢にあるなら文句は言わないだろう。しかし「共働きだから」お金は光一と由美子で折半だ。
別に、お金を出すことは厭わない。ただ、私だって仕事で忙しいなかで時間を捻出し、あれこれ計画しているんだから……。文句を言うなら満足のいくプランを、ご自分でどうぞ自由に作っていただきたい。
「任せっきりにするなら、一切文句を言わないで欲しい」
そう思ってしまうことは、由美子の贅沢なのだろうか?
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計画、判断を任せっきりにするのに、いざとなると文句ばかり言う夫に関するお悩み。心理カウンセラー五百田達成さんからのアドバイスは?
後編に続きます。