クラシックと、エレガンスと、ラテンの色気
「CUERVO Y SOBRINOS(クエルボ・イ・ソブリノス)」の歴史は、ハバナが栄華を極めていた1882年にまで遡ります。この年、創業した家族経営の小さな貴金属店が、19世紀末には「著名人なら一度は訪れるべき店」といわれるほどにまで成長。当時は、その名を世界中に轟かせていたといいます。
しかし、1953年のキューバ革命によって、クエルボファミリーは国外退去せざるを得ない状況になり、その後、ブランドは休止状態となり時計製造は停止。ヴィンテージマーケットでは、時計コレクターの注目を集める存在になっていました。
幻となっていたCUERVO Y SOBRINOSの再興へ向けた挑戦が始まったのは1990年代後半。調査のためにハバナの旧店舗の地下金庫を開けてみると、そこには往時のムーブメントやデザインスケッチが手つかずで眠っていただけでなく、ウィンストン・チャーチルやアーネスト・ヘミングウェイ、クランク・ゲーブルなどの大物が名を連ねる顧客台帳も見つかったそうです。
2003年に完全復活を果たし、その2年後には日本上陸。僕もそんなロマンティックな物語に惹かれて「PROMINENTE(プロミネンテ)」シリーズの別のモデルを購入したのですが、今回、紹介する「SOLO TIEMPO(ソロテンポ)」は、堂々とした佇まいと個性的なダイヤルデザインを備えた同ブランドのアイコンとなっているモデルです。
自動巻、パワーリザーブ42時間、防水5 ATMなどの機能も備え、100年前のただのレプリカではなく、新時代のウォッチとして生まれ変わっているのも魅力的。
センターに配されたマザー・オブ・パールと、その周辺のギョーシェ模様の組み合わせは最新の技術を駆使して製作されています。ちなみに、PROMINENTEは最大サイズのキューバシガーにちなんだ名前で、このシリーズは高貴な印象の弧を描いた長方形のケースを特徴としています。