チルデンのイイとこだけ取った、薄くて着心地の良いニット
さて、202回目も 徹底して「エルメス」。カシミア×コットンのチルデン風〜 ニットです。
チルデンニットと言えば、アメリカのテニスプレイヤー ウィリアム・チルデンの名に由来しており、Vネックの襟もとや裾などにラインが走ったケーブルニットのこと。
テニスニットや クリケットニットなんて呼ばれ方もしており、トラッド感やスポーティさに溢れるため、アイビーやプレッピーなスタイルには欠かすことができず、ブルックス ブラザーズやラルフ ローレン、新しいところでいうとトム ブラウンといったアメリカン トラッドを地でいくブランドからは必ずリリースされています。
僕ら70年代生まれのセブンティーズは、激烈怖いヒトなはずなのに 格好だけ優等生みたいなパイセンたちが着こなしてるのを見て真似し、さまざまなブランドのものを買ってみたりしました。
30歳を迎えた頃には、稲妻のような衝撃を受けたトム ブラウンの登場で、アメトラやプレッピーが盛り上がり、ブラック フリース バイ ブルックス ブラザーズ(BLACK FLEECE BY Brooks Brothers)でリリースされたカシミア100%のものを 大枚叩いて買ったりしたものです。
ところが、どうにもしっくりこない…。アメリカくさいというか、お父さん世代が軽井沢で品の良い女性と一緒にテニスしてそうというか、そこはかとなく古臭さが漂う。
「もう少しディテールだけ美味しく頂いて、今っぽい感じのものはないのだろうか?」と探してみたら、やっぱりエルメス行くと出逢えるんですね。
襟にラインを走らせて、裾と袖口にも2本のライン。色も白ではなく、ちょっとくすんだベージュで、コットンでもカシミアでもなく、コットンを40%、カシミアを60%の良バランスで混紡させたニットが!
しかもラインは、バーガンディを一色で描くのではなく、ブラックを縁取ることで奥行きを感じさせ、太さのバランスも絶&妙。
往年のチルデンとは異なり薄手なのでジャケットの下に着ても もたつかないし、白じゃないので 嘘くさいお利口さん感も皆無。
これが、フランスの底力なんでしょうか。アメリカの良いエッセンスだけを上手に すくって、フレンチ トラッドを生み出した、あの感じ。
それにヤラれて、今回も値段は気にせず、清水ダイブしてしまいました。
じつは先日紹介した、リバーシブル仕様の1粒で2度以上美味しいカシミア ニットは、このチルデンニットがあまりに使えるからお買い足しした おかわり的アイテム。
気がつきゃ、色だけ異なる 似たようなVネックニットが3枚、我が家のクローゼットに納まることになりました。とさ。
どれも今は 店頭で買い求めることができないので、今回も値段は伏せますが、あそこのニットだったら数十枚は買えてたのかもですね。いらんけど(笑)。
Photo:Shimpei Suzuki(item)
Edit:Ryutaro Yanaka