「ザ・下町」、通称「もんなか」で親しまれている門前仲町に来ました。門前仲町は1931年黒江町と門前山本町、蛤町の一部が合併して誕生した地名で、有名な神社仏閣を有する「富岡」に隣接する門前町として栄えてきました。
駅の周辺や辰巳新道という路地には30軒以上の飲食店が並ぶ、昭和レトロな雰囲気が漂って、お酒好きのオアシスが軒並みあるのですが、今の時期は休業されているお店も多く、なんだか寂しい。
夕暮れ時、人恋しさで身も心も冷え切ってしまい、巴橋の方までひとり街を彷徨っていると、提灯の灯火と、何やら赤い看板に「葡萄割り」の文字が。
「ささ谷口屋」という不思議な店名に、のんべえアンテナがビビっと察知。ぬくもりを求め、思い切って暖簾をくぐりました。
「ささ谷口屋」は、「銀座ささもと」で11年修業された大将が開かれた「もつ焼き」と「葡萄割り」が名物のお店。
「ささもと」は、本店が新宿「思い出横丁」にあり、戦後すぐ昭和20年代まで歴史を遡ります。
戸板1枚で仕切られた店が立ち並ぶ一角に、看板もなく、女性一人では入店できないルールがあります。店主曰く、声かけ・おごる、おごらないなど男女の揉め事禁止の為酒場でのルールを守られているからだそうです。
こちらのお店は新宿の姉妹店「銀座ささもと」で11年修行された後、今から4年前に開店されました。ささもとの「ささ」と、大将のお名前「谷口」を合わせて、「ささ谷口屋」となったのです。
まず、コースを選びます。お腹をほどよく満たす「ちょうどええセット(1300円税抜)」という串煮込み+モツ串5本にしました!
こちらが「ささもと」の同じ品揃えとの最高なラインナップのお酒メニュー♡ オリジナル割りものが人気です。初めの1杯は色々迷いながらも、お隣にいらした素敵なおじさまと同じ「レモンハイ(550円税抜)」で乾杯!
レモンを漬け込んだ金宮焼酎+特製レモンシロップのレモンハイです。カウンター越しに、ふつふつと湯気が立つもつ煮込みの鍋を眺めながら。冷え切った身も心もほっと、温まります。
まずはセットの串煮込み♡
大鍋でぐつぐつとじっくり、信州産の味噌のみで煮込まれたもつ煮込みがとても柔らかくお酒が進みます。豚モツ・牛モツを使われた寄せ串が入ってます。こちらのお店は、お箸がありません。「ささもと」のお店のスタイルらしく。箸でわざわざはずして頂くのではなく、串焼きをそのまま口に運び美味しい状態で召し上がれるようにしているそうです。
タンモト(写真奥)と牛ハラミは、熱々のうちに、頬張ります。秘伝の汁(煮汁)に浸けてから焼き上げていらっしゃるため、香ばしいお味がお口の中に広がります。
レバーは、たっぷりのネギ醤油と共に。くせのない味が最高です。
さて、楽しみにしていた「葡萄割り(660円税抜)」です。
並々とグラスから溢れてます♡ こちらのお酒は金宮焼酎25度を使われた名物で、かなりアルコール強めなのでお一人様3杯までと決まっております。ワインの色がとても綺麗でうっとりとしながら〜。
葡萄割りは、戦時中の日本が貧しかった時代、ワインが高価で飲めなかった人でも、ワイン気分を感じられるように誕生したお酒だそうです。
現在はカウンターに感染防止のため透明パネルが設置されておりますが、お隣のおじさまがパネル越しに、さりげなくいろいろなお話しをしてくれました。自粛期間に伴い10日ぶりに外呑みをされていたようで、日常のお仕事の疲れから開放のひとときにご一緒させて頂きました。
今宵は、老舗店の歴史と味を後世に引き継がれているお店でしっぽりと。昭和の古き良きお店の味と人情をこれからも忘れずに、私も共に年齢を重ねながら美味しく呑み続けていきたいです。
ささ谷口屋 (ささたにぐちや)
東京都江東区富岡1-26-1
営業時間
現在は17:00~20:00(※お酒のご提供は19:00まで)
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。
ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
定休日 月曜日
最新情報は「ささ谷口屋」公式インスタグラム@sasa.taniguchiyaで
Photo&Text:Misaki Kobayashi
Edit:Takashi Ogiyama