クラシックとモードの感性を掛け合わせて誕生!
前回に引き続き、僕が最近気に入っているシャツブランド、アルコディオでプロデュースしたネクタイをご紹介したいと思います。
その前に、まずなぜ僕がこんなにアルコディオにハマったのかお話しすると、2年前ぐらい前のブランド立ち上げの際に、アルコディオの企画の方から「意見を聞かせてほしい」という相談があったんです。で、試しに着てみたら袖を通した瞬間にしっくりくるものがあったんです。
パターンメイキングが素晴らしいうえに、生地には高級感があり、しかも要所要所はハンド仕上げ。これで価格は一律で税抜き5,500円って、もはや驚愕ですよね。僕も白シャツは消耗品と割り切って、安価なものを散々試してきましたが、これほどの本格派にはこれまで出合ったことがありません。さらに、高級シャツの見栄えなのに、防シワ加工などでアイロンの手間が省けるなど、着る人の使い勝手を追求する姿勢もいいなあと。
アルコディオを手がけているのは、国内の老舗シャツメーカーなどでキャリアを積んだ女性。日本のものづくり文化を守るために自分で始めることにした、という考えにも共感して、すっかりファンになってしまいました。
ロロ・ピアーナ社のスーパー150’sのウール地を選ぶ
話をネクタイに戻すと、最近ニール・バレットのセットアップスーツを着ることが多いこともあり、それに合わせられるモダンなタイプがほしいと思っていたんですよ。これまでは、大剣幅7センチの黒と紺の無地のウールタイを愛用していましたが、それだとどうもモードに振り切れない。で、いろいろ探してみたのですが、どれも帯に短し襷(たすき)に長し、といった感じで……。
クラシックなつくりのナロータイってなかなかないんです。当たり前のことですが、素材や芯地が良くないと結ぶときにノットやディンプルがキマらない。そうすると一日中落ち着かないわけです(苦笑)。
そこで今回は、スーツにも使用されるロロ・ピアーナ社のスーパー150’sのウール地を選んで、オールハンドで縫製していただきました。大剣幅5.5センチ、裏地のループ部分には干場監修の証として「H」の刺繍が入っています。
これを初めて結んだときの感動たるや……。最初からお願いすれば良かったと思ったほど。アルコディオの白シャツに5.5センチタイの組み合わせが、この冬の定番になりそうな予感です。
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii