ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION アパレル業界の挑戦者たち

ファッションを楽しみながら「SDGs」を考える! 衣類を“Rewrite=書き換える”新ブランド登場

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

今月の取材のキーワードは、先月に続いて“サステナビリティ”――コンテンツ「今日のピリカ」でも取り上げられていた「SDGs(エスディージーズ)」は、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略だが、アパレル企業のアーバンリサーチが、企業風土を活かしたアプローチをするため、「3C」というSDGs基本方針を定めたという。

さらに、アーバンリサーチのデッドストック衣料をリメイクする新レーベル「Rewrites URBAN RESEARCH(リライツ アーバンリサーチ)」を今月末にスタート。同社の取り組みを、ブランドプロモーションチーフの宮 啓明さんと、長島豊茂さんに伺った。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

左は、ベーシックな2本のパンツを組み合わせ、ストレートシルエットのアンクルカットパンツに書き換えた「RePANTS #1」2万3100円(税込)
右は、ナイロン、ポリエステルなど化繊の特徴を活かして、G-1ラインクルーマンジャケットTYPEに書き換えた「ReJKT #1」3万3000円(税込)

SDGsの17の目標×アーバンリサーチが貢献できることとは?

SDGsは、2015年9月に行われた国連サミットで採択された「接続可能な開発のための2030アジェンダ」内に記載された2016年から2030年までの国際目標で、アーバンリサーチは、積極的にSDGsを推進するため、「3つのC」を選定した。

その3Cは、①Clothing Innovation(衣料資源の有効活用)②Clean Earth(地球環境負荷の軽減)③Community Building(コミュニティの形成)。サステイナブル素材の活用や生産量の適正化、アップサイクルの推進といったアパレル企業がもつ問題に取り組む「衣料資源の有効活用」の視点から、今回紹介する新レーベルが立ち上がったそうだ。

――「3C」というSDGs基本方針を定めた理由は?

 SDGsの17の目標がある中で、アーバンリサーチがアパレルの企業として貢献できることを考えたとき、様々なキーワードがでてきました。それらを整理したときに3つのCの頭文字を持つ基本方針を定めました。この基本方針を明示することで、弊社の商品企画から店頭販売、プロモーションに関わるスタッフ全員の共通の認識となり、「この活動はアーバンリサーチの方針に合っているかどうか」を確認できる指標になります。

――社内の反応はいかがですか?

 社内の推進チームが中心となり、昨年末に方針を決めて発信してからまだ3ヵ月ほどですが、少しずつ意識が芽生えているスタッフも出始めています。たとえば、洋服を作るにあたっての「素材」はこういうものでいいのだろうかとか、「商品」を作ることで汚染環境に負荷を与えていないかなど、今後はそういうことを当たり前に考えてくれるとうれしいですね。

さらに、将来的には私たちが提案する洋服が、「実は環境にも配慮しているものです」ということから、お客様がSDGsを考えるきっかけになってくれることを期待します。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

左は、ベーシックシャツを組み合わせ、80~90年代にとあるストリートブランドからリリースされていたシャツをモチーフに書き換えた「ReSHT #1」2万3100円(税込)
右は、ポリエステルやレーヨンの雰囲気を活かし、ボックスシルエットのオープンカラーシャツに書き換えた「ReSHT #2」1万9800円(税込)
Yahoo! 配信用パラグラフ分割

「ReSHT #2」は、異なる素材を黒染めすることにより、生まれる色の差やパッカリングを利用し、柄として表現している。
Yahoo! 配信用パラグラフ分割

「ReSHT #1」は、ランダムに切り替えられた素材と、袖部分にはシャツの前身頃のパーツを使用することでリメイクを分かりやすく表現している。

ロスになった洋服に対して出来るアクションを起こしていく

――テレビの経済ニュースなどで、「衣料廃棄」がたびたび取り上げられていて、一般の消費者の関心も高まっていると思います。

 衣料廃棄に関しては、アパレル業界全体が抱えている問題だと思います。需要に対する供給のバランスや適正枚数は突き詰めていかないといけないと思いますが、小売りの事情として先に生産してお客様に届けるスタイルなので、どうしてもロスが出ますが、それは食品ロスと同じです。もちろん廃棄に繋がるようなものは削減していくべきだなと感じています。

――確かに洋服も食べ物も、±ゼロの適性数という設定は至難のワザですね。

 新レーベルの「リライツ アーバンリサーチ」は、デッドストック衣料を活用したリメイク企画です。アーバンリサーチグループでは全国約300店舗ほどを運営していますが、商品にほつれや破れなどがある、いわゆるB品をはじめ、販売できなくなった衣類を“Rewrite=書き換える”ことで、新たな衣服として世に出すものです。

――なるほど。もう一度“着られる”ように再構築するわけですね。

長島 廃棄衣料に対する問題は年々大きくなってきていますが、リライツ アーバンリサーチは、アパレル企業として「作る責任、使う責任」に取り組むプロジェクトで、様々な理由から廃棄される衣料のアップサイクルの手法の一つとしての「リメイク」です。

――リライツ アーバンリサーチは、大阪発のリメイクブランド「INK(インク)」と、雑貨ブランド「THE COLOR(ザ カラー)」の西村顕デザイナーとの取り組みと聞いています。

長島 単純なリメイクではなく、洋服としての価値をもう一度与えるためにデザイン性の高いものにしたいという思いがあり、大阪で10年以上リメイクを専門としているブランドと雑貨を専門に製作しているブランドと協業しました。

――今回は、リライツ アーバンリサーチ第一弾となる8アイテムすべてを撮影しました。

長島 リメイクの取り組み方は、まず弊社の倉庫にて廃棄衣料をピックアップして、先方に渡します。そこで解体、染色、縫製までを行っているので、デザインを含めてクオリティが高い製品になっていると思います。

――いわゆる一点物ではないんですね。

長島 今回のテーマは「ブラック」で、染めてから裁断しているものなどもあるので、素材の使い方によって風合いや表情が変わってくるものもあります。基本的にデザインを元にして製作していますが、ほぼ一点物ですね。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

左から、Tシャツとタンクトップのセットとして販売されていたものを一枚のTシャツに書き換えた「ReT #1」7700円(税込)、
黒染めしたデッドストック衣料を裁断して、ストールに書き換えた「ReSTOLE #1」9900円(税込)、
「ReJKT #1」と同素材を用いて、ミドルブリムのハットに書き換えた「ReHAT #1」7700円(税込)、
「ReJKT #1」と同素材を用いて、ショッピングバッグに書き換えた「ReBAG #1」9900円(税込)
Yahoo! 配信用パラグラフ分割

「ReT #1」は、Tシャツにタンクトップをレイヤード風に貼りあわせ、ポケット部分にはセットの外装として使用されていた資材を使用している。
Yahoo! 配信用パラグラフ分割

「ReHAT #1」は、カッティングをシンプルに抑えて、丸めてカバンにしまえる、パッカブル仕様。

SDGsという背景はあるが、ファッションとして楽しさがある取り組みにしたい

――では、SDGs に高い関心をもつFORZA STYLEの読者にメッセージを。

長島 新レーベルは、ファッションにも社会問題にも興味をもっていただけるきっかけとなるアイテムが出来上がったと思います。ぜひ一度、店頭で実物を見ていただきたいと思います。

 ファッションとして洋服を選ぶ最初の基準は、デザインやかっこよさでいいと思います。リライツ アーバンリサーチの商品はファッションアイテムとして本当にかっこいい仕上がりになっているので、気に入っていただけたらうれしいです。さらに、その先に興味をもっていただいて、アーバンリサーチの取り組みを知ってもらうきっかけになればと思います。

長島 リライツ アーバンリサーチは、アーバンリサーチ堀江店、アーバンリサーチiD渋谷パルコ店にて先行販売中で、アーバンリサーチ名古屋パルコ店、KYOTO、なんばCITY店、福岡パルコ店、アーバンリサーチiDのルミネエスト新宿店、渋谷パルコ店、ラフォーレ原宿店(2月29日オープン)、ならびにオンラインストアでは4月10日(金)より販売するので、ぜひご覧ください。

【問い合わせ】
アーバンリサーチ

Photo:Riki Kashiwabara

Text:Makoto Kajii



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5