「今の時代の夫婦関係ではあり得ないことなのかもしれませんけど…、冷たいものを食べないんです。自分でレンジで温めることもしない。だから、何時であろうとこちらが作らなくてはならない。これが異常だったなんて、本当につい最近まで知らなかったんです」。
前日に作ったものは絶対に手をつけない。嫌いなものは残す。まるで子供のような夫の食事に付き合う日々は、花江さんの心を蝕んだ。
「いっそ、まずいとか食べたくないと言ってくれたらどんなによかったか。嫌いなものを箸でおもちゃするようにつつく姿に怒りが湧いたことも1度や2度ではありません。もちろんその都度、伝えてきたつもりです」
ー嫌いなものがあるなら言って欲しい。
ー腹具合とか体調とかこっちの都合もあんだろ?それでも全部食えっていうのか?
好きなおかずがなければ、食事を中断してコンビニにお惣菜を書いにくことも当たり前にあったそうだ。そのくせ、花江さんが出かけようとすると
ー俺の飯は?
そう投げかけるのだと話す。【後編】では、ついに別居を決意した花江さんの心のうちに迫っていく。
取材・文/橋本 千紗
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