「夫は食い尽くし系です。作り置きおかずを作ってもすべて平らげ、挙げ句の果てには子どもの遠足のおやつまで......。本人はいたって悪気がないんですよね」
佐々木舞子さん(42歳・仮名)の夫は、結婚当初から食欲旺盛で振る舞う料理はすべて美味しいと言って食べてくれるようだ。そういうところが好きだったが、子どもが生まれてからは夫の食い尽くすクセにはウンザリしていた。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。
「昨今SNSでも話題になっている食い尽くし系。食への欲望が強く、他人の食べ物をすべて平らげる特徴をもっています。すべて食い尽くしてしまうのは本人の性格や家庭環境が要因でしょう。
両親が共働きのため冷蔵庫から直接取ることが当たり前だったり、大皿料理でどれだけ取ってもOKだったり、どのように食事をしてきたかが影響しています。家族団らんの食事時間をストレスに感じている妻は少なくないんです」
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「食事は人をよくするといいますが、夫と食事をすると焦りや不安の感情が出てくるんです。夫に食べられる前に食べなきゃ!と思って早食いになる自分が嫌だし、子ども達のために作り置きしたおかずを食い尽くされると腹が立ちます」
料理を作って人へ振る舞うことが好きな舞子さん。小学生と幼稚園生の子を育てながらフルタイムで働いている彼女は、忙しくてもできるだけ1汁3菜を心がけているようだ。
家族にバランスのよいご飯を食べて欲しい気持ちから、献立を考えて買い物をしたり料理が映えそうなお皿を使ったりと、食卓にはこだわっている。
楽しいはずの夕飯時間がいつの間にかストレスを感じていったのは、すべてを食べてしまう夫が原因だと話す。
「とにかく夫はめちゃくちゃ食べます。身長が高くガッチリ体型なので仕方ないとは思うんですが......。毎日、夕飯時に5合炊いても炊飯器のお米はすっからかん。お米だけならまだしも、作り置きしたおかずや買っておいたお菓子もなくなりますよ。
夕飯のメインメニューがハンバーグや生姜焼きのとき、注意しなければ子ども達の分までペロリです。本人は何が悪いの? 作ったのに食べるななんて矛盾していると思っているようで、どうしても理解し合えません」
夫は食い尽くし系だが、舞子さんの作る料理に対して一切文句は言わず、出された料理はすべていつも完食してくれるようだ。
結婚当時はそれが嬉しく作りがいがあった。しかし、頑張っておかずを作っても一瞬で食い尽くされ、作った本人は食べられず冷蔵庫に常備している納豆とキムチを食べたこともあったらしい。
こういう人と思い生活してきたが、子どもが生まれてからは思いやりがなく自分勝手だと感じるようになったと話す。
舞子さんが友人や職場の同僚からもらうお土産は、気づいたら彼がすべて食べているケースが多々ある。赤福、東京ばな奈、紅芋タルトなどの有名菓子になると箱だけが残っているときがあるようだ。
「夫に高級チョコを食べられたとき『ショック!楽しみにしていたのに!』と怒ったら、食い意地ヤバくない? と言われちゃいましたよ。あんたにだけは言われたくないって感じですよね(笑)。
せっかく人からもらったスイーツって、何日かにわけてゆっくり楽しみたいじゃないですか、子ども達とシェアもしたいし。夫に見られたら全部なくなるので、食べられたくない物は隠すようになりました。家族なのに、なんか嫌ですよね......」
☆後半では食い尽くし系への対策、夫婦仲を保つため実践しているポイントについてリポートしていきたい☆
取材/文 錦城和佳