2020年の国勢調査で、単身世帯は2000万世帯を超えた。単身世帯と聞くと「若者が結婚をしなくなった」など、若者の一人暮らしをイメージするが、実は高齢者の単身世帯も増え続けている。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「高齢化社会ですから、当たり前と言えば当たり前ですね。調査では65歳以上の単身世帯が若者より多くなっています。今後も増えることは確実ですね」。
介護が必要な人の数が増えることも問題だが、この1人暮らし老人のトラブルも多く耳にする。
「特に男性高齢者の1人暮らしは、女性に比べると人間関係が希薄になりがちかもしれません。仕事一筋できて、退職後に話し相手もいない、そんな話をよく耳にするでしょう?その上、妻に先立たれたり、離婚をするなど、さらに会話をする機会が減るんですよね」。
今回はそんな高齢者老人とのトラブルについて何人かに話を聞いた。
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塚本美穂さん(仮名・32歳)は、スーパーで働いている。
「結構大きめのスーパーで朝から晩までひっきりなしにお客さんがいらっしゃいます。朝なんて開店前に行列ができるんですよ。そのほとんどが高齢者の方です。早起きだからなのか、開店前からぞろぞろ集まって、並びながらおしゃべりに花を咲かせています」。
そのほとんどは女性だと話す。
「みなさんチラシをみながら何が安いと話したり、食事のこと、近所のこと、いわゆる世間話ですね。すごく楽しそうに話してらっしゃる姿を目にします」。
一方で男性高齢者は少し雰囲気が異なると話す。
「お1人でいらっしゃる男性高齢者のなかで目立つのが、すごく横柄な人。誰かとぶつかったとかレジが遅いとかで怒鳴っている人をよく見かけます。商品が見つけられない、置く場所がわかりにくいとか、社員教育がなってないとか訴えてくるカスハラもよくいます。あとは質問魔の男性高齢者も多いですね」。
質問魔とはどんな人なのだろう。
「多分、なんですけど、おしゃべりにきているんでしょうね。コーヒーはどこにある?とか、味噌は何がおすすめ?とか、そんな感じで女性スタッフを捕まえて、あれこれ尋ねるんです。お客さんは暇なんでしょうけど、こちらは仕事があるのでこれには本当に困っています。お気に入りのスタッフにプレゼントを持ってきちゃう、そんな高齢者もいますね」。
美穂さんは上手にあしらうが、すっかり気に入られて付き纏われるようなこともあるらしい。