「教師と生徒の恋愛。昨今ではドラマや漫画でもよく取り上げられる題材ですが、現実世界ではまだまだ世間の目は厳しいと言えます。双方に恋愛感情があり、合意の上での関係であれば違法ではありませんが、やはりある程度の『犯罪臭』は免れられませんから。風当たりも強い分、本人たちがそれに反比例して盲目になってしまうパターンも多いですね」
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう語る。今回は教師と生徒が周囲を振り切って結婚した、「禁断の恋」のその後の事例をご紹介する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
生徒と先生の恋愛というものはドラマの題材になるのに、「その後」がドラマになることはほとんどない。いくつかの困難を乗り越えて結ばれた生徒と先生は、「めでたしめでたし」のその後、末永く幸せに暮らしているのだろうか。
「早まったなあとは思っています」
そうため息をつくのは、高校卒業と同時に、在学中に自分の教科担当だった高校の先生と結婚した日菜子さん(仮名)25歳だ。
「あの時はヒロイン気取りで、この人でなければって思い詰めていましたけど、そんなことはないし、視野が狭かったなあってつくづく思います」
そう話す彼女は、結婚するからと大学にはいかず、18歳で主婦になった。結婚して4年で子宝に恵まれ、彼女が出産した時、同級生の多くが就活中。子育てや主婦としての暮らしは楽しかったが、彼女は次第に孤独感を募らせていく。

「結婚が決まるまでは本当に嵐のようで、両親や夫の家族の反対に抵抗しながら、夫と2人で手を握りしめあって生きているような感覚でした。彼以外はみんな敵。ロミオとジュリエットのジュリエットみたいな気分。交際中は友達にも隠していたので、友達も自然と少なくなりました。でもいざ結婚してみたら、夫には戻っていくフィールドがあって、私には家庭しか残っていません。今住んでいるマンションで同棲していた時に、何度か私の両親が大声で叫びながら私を迎えに来ていたので、近所では『禁断の教師と生徒の結婚』という噂が広まっているので、近所の人とも親しくなれません。私は一人ぼっちなんです」
子どもができた時にようやく、両親や夫の家族とは和解できたが、それはあくまで「孫を産んだ人間」として認められただけではないかと日菜子さんは感じてしまうのだ。彼女が卒業と同時に高校の先生と結婚すると断言した時、彼女の両親は悲嘆にくれた。大学や社会でもっとたくさんの人に接してから結婚相手を決めた方が良いというまっとうな主張に、当時日菜子さんは耳を貸すことができなかった。
一方夫の両親は、夫の外聞のために、どうか結婚しないでほしいと日菜子さんに頭を下げに来た。そんな夫の両親や夫本人に、日菜子さんの両親は、「ロリコン」「犯罪者」「商売道具に手を出した」とあらん限りの罵声を浴びせたこともあり、両親間での交流はゼロに等しい。
「結局、私の両親や彼のご両親の言うとおりになってしまったので、今度は私が気まずくて、あんまり彼らに会いたくないんです」
日菜子さんはそう言って苦笑いする。日菜子さんだけではなく、夫の職場での立場も結婚によって大きく変わったと日菜子さんは話す。結婚後、夫は『生徒に手を出したヤバい先生』という評価で出世の道は完成に閉ざされた。☆次回はその末路をさらに詳細にレポートする☆
ライター 八幡那由多