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子供が子供を脅迫? 児童ポルノの世界

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

今春、警察庁より児童ポルノに関する衝撃的な数値が公表されました。2022年に事件化された「ネットが絡む児童ポルノ」事件のうち、その4割が「被疑者が10代」、つまり捕まったのは子供だったそうで……。

私も実際、「ネットで知り合った同世代に弱みを握られ、わいせつ画像を要求されている、助けて!」みたいな相談を、脅されている側の子から受けることがあります。ただ公表された数値だけを見て、「児童ポルノ事件は子供どうしの事案も多い」と判断するのは早計です。なぜなら被疑者が10代だからと言って、必ずしも「加害者」とは限らないから。

関係者にヒアリングしたところ、確かに検挙された10代のケースで「子供が子供を脅す」という事案があったのですが、ただそれと同じくらいの割合で、出会いの機会が少ないLGBTの子が、恋人を探す目的で自撮り画像をネットに投稿していた、というケースも起きていました。

もちろんこれは違法行為ですし、投稿した本人が事件に巻き込まれかねない、非常に危険な行為でもあります。警察も注視しつつ、見過ごせない場面ではやむなく検挙……というケースも少なくなかったようですね。

ネットにおける児童ポルノ事案は、依然、「大人が子供に」が主流と考えるのが妥当でしょう。

ものすごく悪質な手口で……

実はこの3年、SNSで未成年を誘い出す、いわゆる「出会う」タイプの事件は減少傾向にあります。これは決して世のロリコンが心を入れ替えたワケではなく、単に新型コロナで大人も子供も外出が難しかったから。あのコロナ禍で子供を外に連れ出すのは非常に困難だった。だから減ったんです。

逆に同タイミングで増え始めたのが、画像・動画を要求する児童ポルノ事案。会えない代わりにステイホームの子供を騙し、脅し、自撮りさせ、その画像を送らせようという、まあ控えめに言って最低野郎の発想ですね。

タチが悪いのが、児童ポルノは犯人にとって作業効率の良い犯罪だということ。子供に自撮りを送らせる犯罪は、その多くがチャットを舞台としており、つまり手慣れた犯罪者なら「複数の被害者」を同時に脅すことが可能なのです。実際、100人以上の被害者と同時進行でやりとりし、何人もの子供から自撮り画像を脅し取っていた、聖徳太子の鬼畜版みたいな犯人もいました。

また最近は手口もより悪質化しています。SNSに載せた顔写真や学校、部活など、何の問題もない、一般公開している投稿画像を勝手に保存し、「バラ撒かれたくなかったら言うことを聞け』と脅す……意味わかんないですよね? 普通なら「こいつバカだな」で終わりですが、犯人の狙いはそこなんです。

彼らの獲物は、こういった意味不明な脅しに反応してしまう未成熟な子供。とりあえず支離滅裂な脅迫をして、その反応を見る。狙い通りの子供なら「どうしよう!」と慌ててしまい、脅しに従って自撮り画像を送ってしまう。つまり脅しながら獲物の選別をするという外道中の外道。

「脅しを無視した子は、こんな目に遭っているよ」と、顔写真や名前が数万人に晒されている様子を、ご丁寧に画像で見せてくる輩もいます。もちろんそれは捏造画像。でも子供はあっさり信じてしまうのです。

みなさんにお願いです。この記事の内容、後半だけで良いので、是非子供たちに伝えて頂けませんか? 「そんな画像、拡散されたって全く問題ない、大丈夫だから」と、しっかり教えてあげて欲しいのです。

手口を知れば被害も防げます。ホントにお願いします、是非!

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。

 



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