ハラスメントの中でも代表的なものが「セクシャルハラスメント」であるが、もともとは、職場において言動で相手に性的不快感などを与えるものであり、男女雇用機会均等法第11条にもセクハラ防止策を講じることが各事業主に義務付けられている。
しかし、職場以外にもセクハラは存在するのであり、場合によって犯罪行為として認定され得る。法務省ではこうしたセクハラや人権に関わる相談窓口を設けているので、悩んでいる方は解決の糸口とされるのも一案だ。
今回は、親戚や近所の「舅衆」からのセクハラに悩み、離婚を検討している女性に話を聞くことができた。
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32歳の戸倉麗香(仮名)は、会社員同い年の夫達也(仮名)と結婚して4年目。都会暮らしに食傷気味だったこともあり、達也とマイホーム建設への夢を語り合う中で浮上したのがUターン移住だ。達也が高校までを過ごした田舎でのんびり暮らすというアイデアだった。

麗香は祖父母が農家だったせいか、田舎ののどかさに馴染みがあったし、そのうち子どもができたら、自然豊かな土地で穏やかに子育てをしたいという希望もあった。しかし、実際に移住してみると、そこで待っていたのは時代錯誤な「コミュニケーション」で若い女性の心を挫く腑に落ちない慣習やセクハラだったのだという。
地方の集落といってももちろん色々だが、麗香が移り住んだ土地の独特な風土について詳しく話を聞いた。
「家を建ててしまったけど、離婚を考えています。あんな所で暮らしていても、何も得るものがないので」
麗香は、諦めきったような顔つきでそう話し始めた。自宅完成を待ちながら田舎暮らしに夢を膨らませていたのは、ほんの1年ほど前のことだ。
達也の故郷は緑深い田舎にありながら、車を使えば15分ほどで街なかへ出られ、住む場所としては最高だと思った、と麗香は言う。
「思いっきり市街化調整区域なんですが、夫の家は代々そこに住んでいたので、私たちは問題なく土地を買うことができました。私たちが前に住んでいた所と比べて、土地の坪単価は7分の1です。私の貯金だけでも買えそうな価格でしたね。その分建物の方にお金をかけることができました。間取りや材料もほぼほぼ理想が叶って、そこだけは嬉しかったです」
しかし、環境も家も完璧に思われた新生活の行く手を早速阻んだのが、ご近所問題だったという。家の着工前と引っ越した日には、何時間もかけて近所中を挨拶して回った。棟上げの日には、土地の慣習にならって盛大な餅まきも行ったという。
引っ越しの挨拶に出向いた際、ご近所の中には優しく声をかけてくれる人もいれば、棟上げの時にまいた餅が少なかったと文句を言う人もいた。
「達ちゃん、大人になったね」と夫を子どものように扱われ、笑い合える場面もあった。
「そこまでは想定内というか、どこで暮らしてもいろんな人がいますから。きつかったのは地域の行事とか、飲みの席でしたね」
麗香は、もううんざりというような表情でため息をつくと、さらに続けた。