「一番大切なのは思い出なのかもしれない」松浦弥太郎さんが、これからの人生において"思い出となるようなお買い物"へと繰り出す連載企画。妥協でする買い物なんて つまらない。買うこと自体だけでなく、買うまでのがんばり、買うシチュエーションまでもがストーリーとなる"思い出のお買い物"へ、いざ!
民芸館なら、遠目に眺めるだけ。写真すら撮れない! 軽く3桁超えの逸品
エッセイスト、クリエィティブ ディレクターである松浦弥太郎さんが"思い出になるお買い物"として、第4回目に選んだのは「スリップウェア(Slipware)」。
初めて目にしたという方のために説明すると、古い時代から受け継がれる陶器で、表面をスリップと呼ばれる"でいしょう(泥漿 ※水と粘土を適度な濃度で混ぜたもの)"状の化粧土で装飾したもののことです。
紀元前5000年の中国や中東辺りで作られたものが最古とされ、その後アフリカや南北アメリカ、初期の朝鮮半島、ギリシアやイスラムへと渡り、そして17世紀から18世紀のイギリスには釉薬と組み合わせて焼かれたものが登場します。
それらは産業革命による大量生産品の普及とともに廃れるのですが、その存在を知ったバーナード・リーチやと濱田庄司は1920年にイギリスへと渡り、スリップウェアの破片や現存するスリップウェアを収集して日本に持ち帰ります。それを目にした柳宗悦や河井寛次郎にも影響を与え、彼らの作陶や"民藝"運動に強い影響を与えたとされています。
ということで、今回は…
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