■フェアレディZならではの魅力をしっかり昇華させた
一度消滅した直6エンジンでしたが、Z31登場から2年後となる1985年、2.0L 直6DOHCターボ「RB20DET」を搭載したモデルが登場、直6モデルが復活しました。これはライバルのA60セリカXX(スープラの前身)が2.0L 直6NAエンジンを搭載したことに対する、マーケティング上の戦略でもありました。
その後Z31は、1986年にビッグマイナーチェンジをうけ、後期型が登場。この後期型は、北米にある日産デザインセンター(NDI)がエクステリアデザインを手がけ、全体に丸みを帯びたフォルムに刷新されています。またリアコンビネーションランプは横一直線のガーニッシュと共にすっきりとまとめられ、リアからの眺めは大きく印象が変わりました。
さらに、モアパワーを求めるファンの期待に応えるべく、新開発の3.0L V6DOHC NAエンジン搭載のトップエンドモデル「300ZR」を新しく設定。このマイナーチェンジによって、フェアレディZはより本格的なリアルスポーツを追求したGTカーとして成長しました。Z31は、ビッグパワーをFRで豪快に走らせる、というフェアレディZならではの魅力をしっかり昇華させたモデルだったのです。
■高価になりすぎた現行Z それでも売ってくれるだけでありがたい
フェアレディZは、「若者が頑張れば手の届く」価格でありながらもハイパフォーマンスをしっかり堪能できる贅沢なクルマというのが、大きな魅力でした。しかし現行型のフェアレディZは、安いモデルでも524万円からと、若者にはなかなか手が出しにくいクルマとなってしまいました。
ただ、売ってくれているだけでもありがたいこと。現行のRZ34の事前予約が殺到したことからも、ファンのZに対する思いが伺えます。あとどのくらい現行モデルでありつづけられるかわかりませんが、ファンとしては、Zにはこれからも元気であってほしいと思います。
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:NISSAN
Edit:Ogiyama Takashi