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LIFESTYLE 女たちの事件簿

【後編】昭和の管理職おじさんが直面する50代の憂鬱

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半年ほど前に始まった『これからのリーダーとは』という名の研修は、毎週水曜講師を招いて行われていた。康はタイトルを耳にしただけで、行く気が失せたものの部長以上は参加が義務付けられていたので仕方なく参加をしたのだった。リーダーとしてうまくやれていると思っていた康はまるで興味がわかず、内容はほとんど耳に入ってこなかった。

「部長クラスになるとこういう類の研修が多いんですよ。まるで意味のない時間。話を聞いても綺麗事ばかりで、ためになった試しがありません。だから、この研修にもほとんど身が入っていなかったのが事実です」

研修では、世の中のリーダーはステレオタイプが多く、彼らのチーム運営は管理がメイン。それに対し、新しいリーダーは個々の個性を生かし、チームを正しい方向へと導いていく存在でそれは一概に管理することではないという内容だった。上層部の話では、革命を起こした張本人である彼もその研修を受けていたという。

「彼はもともと素質があった上に、その研修を経たことでチームを率いるリーダーになっていったと会社側は判断したそうです。対してやり方を変えない僕には、不満が上がっているとも言われました。やっていられませんよ、本当に」

康のイラつきは、日に日に積み上がっていった。

「会社でのイライラに加えて、家でものけ者にされているような感じだったんです、最近。娘や息子は年頃なんでわかりますが、嫁が今までにないくらい冷たくて、家族のために頑張っているのになぜこんな態度を取られなきゃならないんだと思っていました」

そして康は家族からも総スカンを食らうことになる。



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