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LIFESTYLE 女たちの事件簿

息子が幼稚園で暴力を。「やるハズがない」一点張りのモンスター母が、息子に注ぎ続ける「愛情という狂気」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

浜崎高子(仮名・48歳)はある日突然、何もできなくなってしまった。家事はもちろん、お風呂に入ることすらままならない。ベッドから起き上がることもできなくなり、毎日時間がすぎていくのを空を見つめて待っている、そんな状態だったという。

「きっかけは息子でした。私、30歳の時に結婚したんですが、なかなか子どもができなかったんです。不妊治療とかも結構やったんですけど、できなくて一度は諦めました。それが39歳で突然妊娠したんです。晴天の霹靂でしたね」

今でこそ40歳代での出産もよく見かけるようになったが、当時は35歳を超えた出産はかなり白い目で見られたという。

「田舎なので出産は20代でするもの、そんな風潮なんです。39歳なんてもってのほか。障害がある子が生まれるとか、育てられるのかとか、結構陰口も叩かれました。正直嫌だなとは思いましたが、周りにその歳で出産している人はいませんでしたし、不安の方が大きかったですね」

心配とは裏腹に男の子が無事に生まれた。高子と夫は、息子を溺愛した。お金に余裕があったこともあり、欲しいものはなんでも買い与え、とにかく甘やかした。

©︎Getty Images

「本当に可愛くて可愛くてしょうがなかったんです。目に入れても痛くないとはこのことか!と。とにかく溺愛して育てたんですが、集団生活が始まると少しずつ歯車が狂い始めたんです」

息子は幼稚園で頻繁に友達に暴力を振るうようになったのだ。暴力といってもそこは子ども。叩いたり、つねったり、蹴ったりと大怪我につながるものではなかったが、どんなに小さなものでも暴力は暴力である。息子が問題を起こす度、高子のところには、担任から電話がかかってきた。しかし、高子はうちの息子に限ってそんなこと!と言って取り合わなかったという。

「そのときは本当に息子がやっているとは思わなかったんです。濡れ衣を着せられたと思い込んでいました。愛情を注いで育てた子どもはいじめなんてしないとはなから取り合わなかったんです……」

しかし、電話がやむことはなかった。むしろ、頻度はどんどんと上がっていった。そして高子はついに、園に呼び出されることになる。

「ちょうど息子と同じクラスに子供を持つ母さんがいらっしゃっていました。彼女は私を睨むように見て、すれ違いざまに野蛮とつぶやきました。私は、えっ?と聞き返しました。すると彼女はこちらを振り返り、どんな教育したらあんな野蛮になるのかしらと吐き捨てるように言って、小走りでその場から去っていきました。私は怒りが込み上げてきました。なんでよく知りもしない人にあんなことを言われなきゃならないのかって」

一部始終を見ていた副園長と担任がこちらに近づいてきて、高子を部屋に入るよう促した。席に座ると担任は最近の園での様子を話し始めた。どうやら息子は自分の思い通りに行かないと駄々をこね、それでもうまくいかないと周りの子を叩いたり、押し倒したりするというのだ。息子が手を出す相手はさっきすれ違ったお母さんの子どもを含めて2人。どちらも息子よりも小さく、おとなしい子だという。高子はそれでも信じられず、息子が嫌なことをされているのでは?と聞いてみた。担任は首を横に振ったという。

「わからないじゃないですか、もしかしたら息子にとっては何か嫌なことがあるのかもしれないんですよ。それなのに、息子が悪いと決めつける園に苛立ちを隠せませんでした。何か証拠があるのかと問い詰めましたが、証拠と言えるほどのことは……と曖昧な答え。それじゃ私も信じられません」

幼稚園側は現状を打開するため、しばらく息子に専任の教師をつけることにすると言った。

「息子は完全に問題児扱いです。そんなはずはないんです。家ではすごくいい子ですし、私の見る限り、友達に手を出すなんてこと、これまで1度もなかったんです。これは何かの間違いだと思いました」

帰宅後、夫に事の顛末を話すと夫は幼稚園の指示に従ってみようと言い出したのだ。

「まさか!と思いました。自分の息子が問題児扱いされているのに、そんな呑気なことを言っていていいのかと。しかし、夫は事を荒げるとさらに事態は悪化するといい、取り合ってくれませんでした。そのとき私、気がついたんです。息子を守ってやれるのは私だけだって」

こうして、高子はモンスターになっていった。何かあって呼び出されるたびに、証拠を見せろと自分よりひとまわり以上若い女性の専任教師に詰め寄った。しどろもどろになる女性を見て、高子はやはり息子は犯人ではなく、犯人に仕立て上げられたのだと信じ込んだ。

「まさに冤罪です。無実の幼い子に罪を着せるなんて信じられません。警察に訴えることも考え始めました」

専任教師はモンスター高子の攻撃に耐えられず、休職してしまった。それを見て高子はほら見たことかと園にさらに強く抗議をした。

「こんな話し合いだけでやめるなんて教育者としての素養がないといっているようなもんじゃないですか。その上、人の息子を犯人だと決めつけるなんて……。そんな人を雇った園にも大きな問題がありますよね」

高子のモンスターぶりは、園のスタッフだけでなく、保護者の間でも噂されるようになっていた。すると被害にあったという子どもが1人、また1人と増え、噂は尾鰭をつけるようにどんどん大きくなっていった。高子の子育てや息子の家庭環境に問題があるのでは?と話す人も増え、高子は気がつけば、孤立無援状態になっていた。

「1人ぼっちであることは、気になりませんでした。そもそも幼稚園に入ったときから、世代が違うというか、環境が違うと感じていましたから。仲良くなった人もいませんし、私ってそもそもママ友というものがいないんです。こんな言い方はあれですけど、ヤンキーのような若いお母さんたちとつるむなんて、考えられなくて」

そして、ある日決定的な問題が起こる。息子が押し倒した相手が頭を打ち、病院に運ばれたというのだ。

「念のため、病院に行っただけで大きな外傷や問題があったわけではないと聞かされました。今思えば、大きな問題なのにこのときは、本心から息子はやっていないと思っていたんです……」

☆理想の押しつけは子育て上芳しくない例として取り上げられる。そんな強い理想や思い込みから抜け出せないままの高子とその息子は今後どうなってしまうのか……次回で詳しくレポートする☆

ライター:悠木律

▶︎後編に続く


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