頼ってくれていたふみとはどうなったのだろう?
「ふみが苦学生だという話も嘘で、お店をやめるのは引き抜きだったそうです。頼られているなんて浮かれていた自分が馬鹿みたいですよ、本当に」
毎晩、スーパーで買ったお惣菜やカップラーメンを食べるとさもしい気持ちになるという。
「家事も何もしてこなかったので、食事は作れません。掃除や洗濯だって一苦労。洗剤の使い方、新しい歯ブラシの場所……何もわからないんです」
熟年離婚は年々増加しているとの調査結果もある。金銭的なダメージや肉体的なダメージはもとより、これから先ずっと1人という不安や結婚生活を破綻させたレッテル、世間体など、精神的なダメージもかなり大きい。
謙也のように気がついたときにはもう遅い……そんなことにならぬようにいたいものである。
TEXT:悠木律
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