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【後編】「溺愛とモラハラとは紙一重なのか?」妻の愛し方を間違えた、金髪の紳士

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依頼者の希望により、そのまま3日間に渡り、小夜子の行動を調査したが、彼女が外出することはなく、妹が一度、食材がたくさん詰まったスーパーの買物袋を両手に下げて訪れた以外に、男性の出入りもなかった。

後日、調査結果を聞くために、依頼者が弊社を訪れた。事情が事情なだけに、小夜子が依頼者に隠そうとした新しい引っ越し先を伝えることは避けたかった。万が一、感情的になった彼がそこに押しかけ、一人で暮らす小夜子と、トラブルになるようなことがあってはまずい。そこで、依頼者には次のように伝えた。

「先方の弁護士から示談書が届いている状況ですし、申し訳ありませんが、こちらとしても、奥様が敢えて伝えなかった住所を、勝手にお伝えすることは避けたいと思っています」

依頼者は、一瞬ムッとした表情にはなったが、すぐにまた真顔になった。

「では、私の顧問弁護士の連絡先を教えますので、彼の方に、新しい妻の住所を伝えて下さい。妻はまだ、警戒しているのでしょうから、暫くしたら、また調査をお願いします」

彼はそう、力強く言い残して去って行ったが、その背中は、少し、くたびれたように見えた。

それから1か月後、依頼者からの希望で、再度、彼の小夜子の行動を、1週間だけ調査することになった。

しかし、結果は同じで、まるで何かから隠れているように、彼女は家の中に籠っていた。妹が2日に一度、スーパーの袋を下げて訪れ、帰り際に小夜子の部屋のゴミを、マンション1階のゴミ置き場に運んでいた。



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