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CAR 交通事故鑑定人は見た!

【後編】保険会社の検証には矛盾があった!交通事故鑑定人が裁判所へ報告した実験結果とは?

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■低速でも落石が起こることを証明

そこで中島氏は、木製のあおりも再現した同サイズのトラックを用意し、当該道路にて検証実験を実施。事故のあった道路は、制限速度が60km/hの国道だが、現場付近は緩やかなカーブがあるため、通過するクルマの平均速度はおおよそ41.5km/h程度(148台の計測の平均値。なお最低は33km/h、最高は57km/h)。加害側のトラックのドライバーは、走行車速は30km/h程度だったと証言していたが、平均的な通過車速が40km/h台、そしてスピードメーターの誤差(10%程度)を加味すれば、現実的には、最低でも30km/h以上が出ていたと中島氏は考え、再現実験では、最低速度を30km/hとし、40km/h、50km/h、60km/hと車速を変えたときの砕石の落下率を検証した。

再現実験の様子。万が一落石があっても受け止めるよう、布製のあおりも付いた車両を用意した。トラック側の意見書の実験内容では、木製のあおりの幅の提示がなかったため、数パターンの幅の木材を用意

その結果、30km/hであっても落石は起こり、また速度が上がるほど落石率は急激に上がることを確認した(メーター読みと実車速には差があるが、車速補正を行っても結果の傾向は不変だったことも確認済)。また、あおり部分に砕石が載っていた状態で、ダンプカーが当該事故現場のカーブを40km/hないしは50km/hで走行すると、ほぼ間違いなく、砂利の一部は道路側に落下することも証明した。

それぞれ2回ずつ、計8回の再現走行を実施。落石率は、30km/hだと5%、40km/hだと10%、50km/hだと25%、60km/hだと62%となった。速度が上がるほど、落石率は急激に増えている

乗用車側の車速が、40km/h出ていたとすると、ダンプカーと乗用車の相対速度は70km/h以上にもなる。直接ではなく、地面から跳ね返ったものが当たったとしても、バンパーやフロントガラスに相応のダメージを与えるには十分な衝撃だ。この実験によって、ダンプカー側の主張の矛盾が明らかとなり、裁判では乗用車側の主張が認められることとなった。



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