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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「親の現場を見てしまい...」三十路娘が12年も両親と口を聞いていない「恥ずかしすぎる理由」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

令和4年版男女共同参画白書によると、2020年時点の未婚割合(30歳時)は女性40.5%、男性50.4%だったという。こうした晩婚化を反映し、「社会人となった後も親と同居し続ける人」は増加する一方だ。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏が解説する。

「少子高齢化の影響や経済状況もあり、この傾向は今後ますます増えていくことは必至です。家庭内はとても閉鎖的な空間ですから、そこで種々のトラブルが出てくるのは当たり前のことなのですが……」

ひと口に未婚といっても、生涯独身を決めて親の面倒を見ながら生きる人もいれば、やがてパートナーを見つけて巣立つ人もいる。また、結婚しないからという理由だけでなく、長引く不況から、経済的理由で実家を出ていけない人が増えていることは想像に難くない。

中島優香(仮名)も経済的理由から、両親と暮らす現在30歳の会社員。しかし、親との同居は形だけで、一切のコミュニケーションもなく無料で間借りしているのが実情。私の育て方が悪かったという親の嘆きに反して、娘には娘本人にしかわからない悩みがあるのだという。詳しい話を聞いた。

……………………………………………………

目の前に現れた中島優香は、やわらかな笑顔を見せて軽く頭を下げた。長年親とのコミュニケーションを断つ頑固者には見えないたおやかさである。

「そうですよ。外ではいたって普通です。家ではこじらせてしまってますけど、いろいろと……」

そう言って愛らしくほほえむと、優香は着ていたノーカラージャケットを脱いだ。薄手のニット1枚の姿になり、白く美しい二の腕が露わになる。モテそうな女性だなと思いつつ眺めていると、その感想を気取ったように優香が鼻で笑った。

「実家暮らしはお金のためです。本当はすぐにでも出ていきたいと思っています。1人暮らしで家賃に大きなお金を注ぎ込むのがいやなだけで……寄生ですね、いわゆる」

親と話すこともなく仏頂面を続けているのは苦痛ではないのかと聞くと、当たり前のことを聞くなという顔をして彼女はこう続けた。

「実家ではわざと憮然としているので、凄く疲れます。両親とは12年以上ほぼ会話がなくて、親の前で笑うとか悲しむとか、人間らしい仕草をしていません。凄く凄く疲れます」

明るく言い放った優香にその理由を訊ねると「複雑で一言では語れない」のだという。10年以上も憮然としたまま口も利かない娘に対し、親はどんな対応をしているのだろうか。

「最初はしつこくどうしたのかと聞いてきましたし、泣いてすがられたり、父親にはビンタもされましたね。思ってることがあるなら言ってみろ、とか言って。母親は私の育て方が悪かったって、今も時々父を相手に聞えよがしに泣いています」

優香がそこまで両親への態度を硬化させた原因は、遡ること12年前、高校3年生の夏のある夜の出来事だったという。

「見ちゃったんです。親の、その、あれをするところを」

聞けば、その夜、優香はライブに出かけ、そのまま友達の家に泊まってくることになっていたという。しかし、友達の体調が悪くなったため、ライブ終盤で会場を後にして帰路についたのだそうだ。この夏が終われば受験勉強が本格化する。最後の思い出作りが消化不良に終わり、彼女はひどく落胆した。

「家に着いたのが夜9時前くらいだったのかな。玄関をそっと開けたわけでもないですし、普通に廊下も音を立てて歩いたと思うんです。リビングのドアもガチャって開けて、ただいまって声もかけましたし。でも返事はなし。電気はついたまま、誰もいないんです。うちの親は当時12時くらいまでは起きてて、2人で晩酌したりテレビ見たりしていたので、どうしてリビングにいないのかと心配になり、何かあったのでは?という不安がよぎりました」

しかし、物盗りに押し入られたような雰囲気もないので、2人で近所のコンビニへでも行ったのかと思い直し、優香は階段を上がって自室へ向かった。

「階段の電気もつけっぱなしだったので、瞬間的にやはり何かあったのかと不安になったのを覚えてます。でも、かすかに音楽が聞こえてきて、それが父が好きなジャズだったので、なんだ寝室でお酒でも飲んでるのかなって、また思い直したんです」

階段を上りきった優香は、廊下のつきあたりに位置する両親の寝室のドアが開け放たれているのを見た。階段も廊下も寝室も煌々と明かりがつけっ放しになっているなか、両親がドアの正面に置かれたベッドで激しく性交していたのだという。

「父も母も私に背を向けていて、なので私に気づいていませんでした。母がベッドで膝をついてたのかな。どうでもいいんですけど、父はその背後に立って、うしろからやってたってことです。母が別人みたいに艶めかしい声を出していて、父もいやらしいうめき声出してて……私は硬直するしかありませんでした…思い出すと過呼吸になりそうです」

優香の顔からほほえみは消えていた。

「私、そのとき処女でしたし……いえ、処女じゃなくても衝撃だと思います、親の現場を見ちゃうっていうのは。ましてやその頃は、映画でラブシーンを観たことがあるくらいだったんですよね。だから親のそれを見た時は、腰が抜けるほどショックでしたね。意識が遠のくくらい」

優香はその後、何とか音をさせずに階段を下り、再び家を出ていくしかなかったという。

「一緒に泊まれるほど仲のいい友達は、その日ライブに一緒に行った子だけでした。クラスメイトレベルの友達に急に電話をかけて、泊めてとかいう発想がなかったんです。それで、当時つき合ってた同じ高校の彼氏に電話したんです。事情があって今日は家に帰れないって。彼氏はすぐに行くって言って迎えに来てくれたんです。でも、相手はすっかり勘違いしてました」

彼氏の自宅に何とか泊めてもらえないかと思ったが、親はつき合っていることも知らないので、実際問題無理だった。いきなり泊まりに行けば、叱られるかひどく悪印象を与えるかのどちらかだろう。その時の優香の所持金は2000円ちょっとだったという。

「彼氏は貯めてたお年玉を後生大事に握りしめてきたんです。お金ならあるからホテルに泊まろうって」

優香は頑なに拒んだが、彼氏が何もしないと言うので信じたという。

「王道ですよね。ホテルに誘う男が何もしないっていうのは、フリみたいなもんだって、大人になればわかるんですけど。優しい子だったし、スポーツばかりしていたし、そんなことのやり方も知らないだろうなって、高をくくってました」

初めてラブホテルに入った優香は、あまりのカルチャーショックに身をかたくしたという。

「いかにもする専用の場所っていう雰囲気に圧倒されましたね。部屋に入ってから、しまったと思いました。彼氏も部屋に入ってはじめのうちは緊張してました。でも、徐々に興奮して……しばらくは自制しなくちゃみたいな顔してたんですが、だんだん我慢できなくなってきたみたいで、優香ちゃんお願い、好きだからって…」

優香は嫌われたくないという思いと、奢ってもらって宿泊する後ろめたさからシャワーを浴びた。なぜこんなことになっているのかと思うと、シャワーに打たれながら涙がこぼれたのだという。

今日は親友とライブで盛り上がって、その子と一晩中お喋りする予定だったのに。彼氏とはつき合っているといっても、一緒に帰ったり、たまに映画を観に行ったりする程度のかわいい交際だったはずだったのに……。優香はラブホテルの中にいるだけで、自分が汚れていくような気がした。

高校の同級生だった彼氏は、初体験の日を境に「そのこと」しか要求しなくなった、と苦虫を嚙み潰したような表情で優香は続けた。

「まさにサカりが付いた状態。私を見るだけでもよおす、みたいな。あの子、大事に貯めてきたお小遣いをホテル代に使い果たしてました。そのうち、慣れてきたのもあって、しばらくは2人でしまくるって感じです……え?気持ち良くなんかないですよ全く。ただ、私が泣いて頼んだので、避妊はするようになりました、当たり前ですよね。で、残りの夏休みと秋口と、会えば何度でもって感じでした」

しかし、そんな状態は長くは続かなかったと優香は言う。自ら望まずとも、乱れた生活を繰り返していたツケはすぐに結果として現れた。

「成績が悪くなって、模試でひどい点を出してしまいました。ずっとA判定だった志望校の合格予想ランクがD判定になったんですよ。母親はブチ切れてました。彼氏と会っていることにも勘づいてたようなので、余計に怒って…私は両親のあの現場を見てから、2人と口を利いてなかったんですが、その態度への不可解さもあいまって、母親の怒りはすさまじかったです」

母親は、怒りにまかせて彼氏の家に行くと言った。相手を知らないはずなのに…と訝ったが、母は一瞬の迷いもなく、歩いて40分かかる彼氏の自宅に直行できたという。優香は母親の後を追った。母とは口を利かないことにしていたため、時々むなしく腕をつかんで阻止しようとするくらいしかできなかった。

やがて彼氏の家に到着すると、どうしていいかわからず、玄関ドアの外で立ち尽くしたまま、優香は母親同士の会話をドア越しに聞いた。娘の鞄から避妊具が出てきた、どうなってるんです?と言う声がドアの中から聞こえてきて、母親が自分の持ち物を調べていたことを知り、優香は愕然とした。

「あんたらあんなにしまくってんのに、説得力ないって思いました。若かったので、思考が単純ですけど、そう思ってしまいましたね。私の鞄を漁るなんて、最低。汚いなって」

☆両親の現場を見て「汚い」と感じた優香さんだが、なぜその後12年間も両親と「絶交状態」を続けているのか。両親はそんな優香さんにどう接してきたのか。家庭問題の複雑さを次回ではさらに詳細にレポートする。このケースを反面教師とて、読み進めて欲しい☆

Text:中小林亜紀

▶︎【カバンの中の避妊具を見られ……】親が事態に気づき怒り心頭。衝撃の「後編に続く」


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