「若者の間では利用者も増え、使うこと自体が普通となったマッチングアプリ。しかし、画面の向こうにいるのは素性の知れない他人であることを念頭に入れておきたいですね。また、素性を偽ってプロフィールを登録している利用者も多いため、便利な反面、まずは疑ってかかるぐらいのリテラシーを持つべきです」
こう警鐘を鳴らすのは男女間トラブルに精通している、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏。今回はマッチングアプリで出会った男女のトラブルを、FORZA STYLE「ライフ取材班」がご紹介する。
・・・・・・・・・・・・・・・
アパレルショップのマネージャーとして忙しい毎日を送る、北関東在住の理菜(27)。仕事の面では充実しているものの、最近ある悩みを抱えていた。
それは友人の結婚の知らせだ。27歳という年頃もあり、理菜の元には友人から結婚式の招待状が毎月のように届く。ご祝儀の出費もさることながら、彼氏のいない理菜は招待状が届くたびに女性としての焦りと劣等感を感じてしまっていた。
ある日も悶々として同僚に愚痴をこぼしていると、マッチングアプリを勧められた。アプリを使うのは初めてだったが、これで私にも彼氏ができるかも、と理菜は期待を隠せないでいた。
しばらくアプリを続けていると、理菜は「裕也」という男とマッチングした。
メッセージのやりとりも楽しく、さらに裕也の家は理菜の職場の近くだとわかり、仕事終わりにいつでも会えると意気投合。裕也は建設会社に勤めていて、音楽好き。マッチョ系の見た目だ。
すぐに会おうという話になり、マッチングしてから1週間で2人はドライブへ。初めは少し緊張していたが、すぐに打ち解けた。会話を弾ませながら、裕也は理菜の家の方へ車を走らせた。 あっと言う間に家の近くに着き、車を停めた裕也は理菜を抱き寄せて耳元で「またね」と言った。距離の近さと嬉しさで恥ずかしくて声も出なかった理菜は、頷くので精一杯だった。
交際が半年を過ぎる頃、裕也は理菜に「今度社宅が空くらしいんだけど、一緒に住まない? 会社の人にも話してみたんだけど、いいって言ってくれているし」と言った。初めての同棲と実家からの自立に嬉しくなった理菜は、すぐに二つ返事で了承した。
しかし、この同棲生活が裕也の本性が明らかになるきっかけだったのだ。