ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE ネット・SNS危機管理マニュアル

【回転寿司の迷惑行為】わさびをのせたり、醤油差しを舐めたり。アホな炎上系動画はなぜ続くのか?

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録
講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

この10年、ネット炎上はどう変わったのか

今年って、日本のネット史に残る「あの事件」からちょうど10年の節目なんですが、わかりますかね?アレですよ、アレ。コンビニの「アイスケース炎上(※)」。あれからもう10年なんです。「ネット炎上」という言葉が、世間に広く認知されたのはあの事件からでした。

※コンビニ店員が店内のアイス売り場でクーラーケースに潜り込み、その写真をSNSに投稿。ネットで拡散して大炎上となった伝説的事件。覚えてます?

実はネット炎上そのものは、アイスケースの騒動よりもずっと前から、頻繁に起きていました。それこそパソコン通信の時代から脈々と続く、由緒正しいバカ騒ぎ=ネット炎上だったんですが、それまでネット民だけのスラングだったネット炎上という言葉が、ワイドショーや週刊誌で普通に使われ始め、世の中に浸透したのはこの事件から。それだけ世間に与えたショックが大きかったんですね。

当時、この件が企業に与えたインパクトも相当デカく、渦中のローソン本部は対応のサジ加減がまったく分からぬまま、慌てて店舗1軒まるごと閉鎖、契約解除という、もうタバコを消すのに消火器を使うような荒業で対応しました。でも世間だって、それがやり過ぎなのかどうか、誰もわからなかった。なんかすごい時代でしたね。

そんな黎明期からはや10年。炎上の舞台は「2ちゃんねる」から「Twitter」へ、ガラケーからスマホへ、粗い写真からリッチな動画に変化しましたが、ネットは相変わらずの平常運転。「おバカさんの発見装置」として稼働中です。ただ以前と比べ、ネット炎上の質がちょっと変わってきていることにお気づきでしょうか?

ネット炎上が変質

昔のネット炎上って、地元の友達みたいな身内ウケを狙ったアホ投稿、「俺ってすげー」という内輪ネタ投稿が、想定以上に拡散してコントロールが効かなくなり……つまり外部への拡散は意図していなかった、というケースが殆どでした。

ところが最近の炎上は、当初から拡散させること、つまり炎上を狙ったものが増えてきました。いわゆる迷惑系ユーチューバーはその代表格です。背景には、動画などの再生回数を稼ぐことで広告料などの「収益」を得られる仕組みが存在します。拡散させ、大勢に見てもらえれば広告収入を得られる。だからバカをやって注目を集めようとする。目的はカネ、という意図的な炎上が増えつつあって、ここ数日話題の「回転ずし」系の炎上にも、そういった連中が含まれてるようです。アホですね。

もっとも、注目を集めどれだけ動画の再生回数を稼いでも、投稿内容に問題があると見なされれば、たいていは収益を没収されてしまいます。だから彼らはギリギリのラインを狙うのですが、残念ながらギリギリが良くわからない。残念です。ストライクで民事訴訟や刑事事件になるケースも多く、恐らく今回の「回転ずし」動画の代償も、かなりの金額になるでしょう。地雷原で踊り狂ったようなもんですからね、こればっかりは仕方がない。

こういった知見が世間に知られるようになれば、やがてこの残念なムーブメントも減っていくと思いますが、その頃にはまた新しい「残念ネタ」が発見され、地雷原に向かって駆け出す連中を見つけられるでしょう。なぜならネットはすべてを「見える化」する道具だから。企業の裏側を、代議士の本性を、路地裏の事件を、そして……ネットにいるおバカさんたちを、今日も明日も平等に、強く明るく照らしてしまう道具、それがインターネット。

私も、自分が見える化されないように気を付けたいと思います。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)
※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5