そんな人気者の彼と、奈美さんの距離が縮まったのは、2人ともテレワークをしなかったこと。そして、お互いに早朝に起床する朝型人間であるということだった。
「彼と初めての出会いから3年間は、特に進展もなく過ごしたのですが、2年前にコロナ禍からのテレワークが広まりました。しかし、私は出社を選んだのです。コロナ禍にも関わらず、毎日出勤していたのは、テレワークの命令がされた夫と一緒にいたくないから。会社に避難していたんです」
彼も奈美さんと同じく出社していた。しかも、2人とも定時より1時間早く出社していた。広いオフィスに彼と奈美さんしかいないという状態が続き、やがて仲良くなる。
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酒好きという共通点があり、当然のように飲みに行き、意気投合する。ほろ酔いの彼から見つめられつつ「ずっとかわいいと思っていたんです」と言われたときは、喜びに全身が満たされた。
「ハートがキュンとするという生易しいものではなく、子宮がぎゅんぎゅんするレベルでした。その日は20時に解散したのですが、2回目の飲み会で男女の関係になりました」
1回体を重ねてしまうと、人は大胆になるものだ。家族には出張と言い、彼と一泊旅行に出かけるようになる。そこで夫では絶対にしてもらえないような奉仕をされた。彼は性欲が強く、奈美さんは彼の技巧に文字通りとろけてしまったという。
「夫と離婚して、彼と真剣につきあいたいと考えるようになりました。都心にある、めっちゃ広くオシャレな自宅にも誘ってくれて、ますます彼と結婚したいと思うように。彼はミステリアスな人で、私を甘やかしてはくれるんですが、ホントのところでは何を考えているのかさっぱりわからない。そういう人だから、恋人関係になっても、片思い気分が続くんです。あの頃は恋焦がれていました」
Text:Aya Sawaki