言われたとおりに帰った渚さんは、結局翌日からも、毎日Aさんからかかってくる電話に悩まされることになる。インターホン越しに謝罪しつつも、自分の振る舞いを弁明する渚山の音声は、Aさんによって録音されており、一部の保護者や生徒たちにはメールで回された。
そのせいで、「自分が悪くないのに謝るなんてダサい。」と生徒たちに噂されるようになり、その噂には尾ひれがついて「Aの保護者に土下座した。」とか「Aの保護者に泣かされた。」というものになり、彼女の言うことを多くの生徒たちが無視するようになった。
そんな状況下で「責任を取って辞めろ。」「教員としての資質がない。」「どうして教員になったのか。」などという言葉をぶつけられ続ける渚さんの相談に乗ってくれる先輩はいたが、話を聞くだけで「うわー、そりゃキツイなあ。まあ、言いたいように言わせておけばそのうちおさまるよ。」という程度のアドバイスしかもらえず、渚さんは、どんどん弱っていった。
校長や教頭は「とにかく穏便に」という言葉だけを渚さんにかけ続け、彼女が必死で取り組んでいたバスケ部の顧問という仕事を、彼女に相談もせずに、別の教員に変えた。
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