昨今、男女の出会いの場として大きな役割を果たしている婚活アプリ。長く続いたコロナ禍が利用率を後押ししているが、便利な反面、十分なリテラシーを持たないまま使うと、思わぬ罠に人生を狂わされることもある。
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金融会社の受付として勤務している吉田明子(仮名・35)は、華やかな見た目と清楚な雰囲気から20代のころは男性からモテモテで、常に彼氏が途切れなかったという。しかし30を過ぎた頃から周囲の友人が結婚し、とうとう合コンにも呼ばれなくなってしまった。
今の職場では年配の男女ばかりで、出会いは期待できない。「そろそろ子どもが産めるタイムリミットも近づいているし、私も早く結婚しなくては」。焦った明子は、マッチングアプリに登録して相手を探すことにした。
美人の明子には、プロフィールを登録するなり多数の男性からアプローチが届いた。通知が止まらず、スマホのバッテリーがすぐになくなるほどだったという。
その中で顔も良く、年収800万円、医療関係の仕事に従事している男性を選び、デートを重ねるように。彼とは意気投合し、すぐに交際がスタートした。

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デート時の羽振りも良く、いつも高級なお店や旅館に連れて行ってくれた。
ただ、彼はお店やホテルに入るとき、いつもキョロキョロと落ちつかない様子だったという。会計をせかして、店員に当たり散らすこともあったという。
携帯を2台持ち、さらに電話をする時は「ちょっと、ここで待っていてくれるかな」と席を外すことも少なくなかった。
「もしかしたら私の他にも女がいるのかも。とは何度も頭をよぎりました。でも、私が大切にすればちゃんと私だけを見てくれるはずようになるはず」と、多少不審な行動があっても片目をつぶることにした。自分の年齢に照らしても、ここで揉めてリリースしてしまうのは痛すぎる。
しかし、この決断が、思わぬ事態をもたらすことになる。