「3組に1組が離婚する」と言われている現代日本の夫婦事情。しかし、当たり前だが、この数値はあとの2組が順風満帆だということを意味するものではない。離婚をしないだけで、形骸化した夫婦関係を続けているカップルも増えているからだ。他人からは見えにくい「夫婦の闇」を取材した。
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中村ヨウコ(仮名)はどこにでもいるような小太りの42歳の女性だ。
「これが夫と子どもたちです」とヨウコが見せてきた画像には、若々しく、かなりのイケメンの男性が写っていた。
「夫の智樹(仮名)とは、大学の先輩と後輩という関係性で。智樹は二学年下ですが、昔から本当に大人気でした。ファンクラブもあったほどです。美人同士で智樹を取り合って大喧嘩に、なんていうこともありました。でも、智樹は当時から私にしか興味がなかったですね(笑)」
ヨウコはとにかくモテるのだという。
「高校生になってからは、彼氏や遊び相手を途切れさせたことがないです。今でも、常に2、3人は遊べる相手をキープしてますね。皆それぞれ、とても魅力がある人だけです」
正直、“魅力のある男にばかり好かれる”ヨウコのどこにそこまでの魅力があるのか、失礼だが、見た目からはまったくわからない。
ヨウコの自信満々の態度に惹かれる男もいるのかもしれないが、どちらかというと嫌がる男のほうが多いような印象を受ける。
「自分の見た目がよくないのは自覚してるんですよね。私がモテる理由って、実は高校生のときから、『某政党の熱烈な支持者』だからなんです」
ますますわからない。それでは、普通の男には引かれるばかりだろう。
「普通の男性はそうでしょうね。でも、同じ支持者だと、熱心な者同士、親しくなれるんです」
なんでも、ヨウコの家庭は元から両親が某政党の支持者で、両親もその繋がりで出会い、結婚したのだそうだ。
「私、中学生のころまでは、まるでモテなくて。あだ名が『豚』だったほどですから。モテないどころか、いじめられっ子だったんだと思います。それを心配した両親が、高校生になったときに、党の交流会に誘ってきて。いざ参加してみると、誰もが私にすごくやさしくしてくれて……私の居場所はここにあったんだ、って感じでしたね」