「そちらに伺いますと言ってくれたのですが、家の近くはなんとなくアレでしょう？だから都内の税理士事務所まで私が行くことにしました。結構、大きな事務所だったようで、オフィスがめちゃくちゃおしゃれ。ちょっとテンション上がっていたんですけど……」
会議室での面談を終えて、税理士と雑談をしながら、エレベーターを待っていた時だった。
「ドアが開いてびっくり！中に夫がいたんです。びっくりしすぎて、声も出ませんでした」
加奈子は税理士に見送られている手前、エレベーターに乗らないわけにもいかず、しかたなく乗り込んだ。
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