いま、日本企業はさまざまな難問を抱えているが、その本質をきちんと把握している人は少ない。そこで、我が国におけるブラック企業問題の第一人者・新田龍が、ブラック企業、ハラスメント、労務トラブル、問題社員、コンプライアンス、リスクマネジメント、炎上トラブル…など、あらゆるビジネスリスクを分析し解説していく。
前編はこちら。
いま、日本企業はさまざまな難問を抱えているが、その本質をきちんと把握している人は少ない。そこで、我が国におけるブラック企業問題の第一人者・新田龍が、ブラック企業、ハラスメント、労務トラブル、問題社員、コンプライアンス、リスクマネジメント、炎上トラブル…など、あらゆるビジネスリスクを分析し解説していく。 「これほどまでにブラック企業が問題視されているのに、いまだ根絶していない理由」③〜⑤について、取り上げる。
③ ユーザーや外野の問題
過剰労働(ブラック労働)とのつながりでいえば、その背景にはサービスや商品に完璧を求め、無限に要求をエスカレートさせるモンスター客やクレーマーなどの存在がある。
彼らは、「お金を出しているのだから」「お客さまは神様だから」という意識が根強く、初めから自分たちの立場を上と見なしている。「お客さまは神様」というフレーズは、演歌歌手の三波春夫が発したことで有名になった言葉だが、「お客さまを神様と捉える。そうすることで芸に磨きをかけ、心の雑念を払い最高の芸を見せることができる」というのが本来の主旨であり、決して「お金を払った客なんだから、神様扱いしろ」という意味ではない。
高いレベルのサービスを受けて気持ちよくなりたいのであれば、それに見合った金額を支払うべきだが、こうした誤った認識が過剰な水準の接客サービスを従業員に強いることにつながり、結果として、対抗手段をもたない末端の従業員の過剰労働につながっている。
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