知子さんはそう言ってまた、深いため息をついた。智子が進学するはずだった大学の学生課に電話をして、何度も謝った上で、何とかしてもらえないかと聞いたが、大学側は、もう締め切ったのでの1点張り。
「でもまあ、それは当然のことです。大学としても、そんな大切な期日を守ることのできない生徒は、欲しくないでしょうしね」
知子さんの本音はそうだが、泣きながら叫んでいた智子の母親には、そんなことは言えない。大学側の電話を切った後、智子の家に電話をすると、「入学は無理だ」と大学側に言われた母親はショックで電話に出られる状態にないと、電話に出た智子本人が告げた。
「本人も、ショックは受けているみたいでした。『先生が前日に電話とかくれたらよかったのに』と言ったのでさすがに頭に来ましたが、個々で怒っても意味がないと自分に言い聞かせて、この後の一般入試を受験するようにと伝えました」
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