近年、女性用風俗やママ活など、女性側がお金を払って性や欲を満たすことが、肯定される風潮になりつつある。
自らの欲望を自覚した上で、それを己の力で叶えることは、力強くて前向きな生き方だけれども、お金を払ってまでそれらを得たいということは、普段の生活に渇望があるからともいえる。その渇望とはいったい何なのか――。官能小説家、大泉りかが、「男を買う」女の心の内に迫るレポートシリーズ、第3回。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「最初は決心がつかなくて。いきなり風俗とかってハードルがだいぶ高いですよね。ずっとHPとかセラピストのSNSを眺めているのが精一杯で、女性用風俗の存在を知ってから使い始めるまでに、トータル6ヵ月はかかりました。」
今回、話を聞かせていただくことになった長田早苗さん(仮名、41歳、既婚)のことは、以前からSNSを通じて、その存在を知っていた。SNS上で女風を始めとする性に関する情報を発信していて、イベントなどの性にまつわる現場にも、度々足を運んでいる様子が伺えた。だから、早苗さんに対するわたしの印象は「怖じることなく突き進んでいく、積極的なひと」というものだったし、実際に会っても、快活で知的な印象は変わらなかった。
ところが、そんな早苗さんであっても、女性用風俗に初めて足を運ぶには、半年かかったと聞いて驚くとともに、どこか納得もした。
自分に置き換えても女性用風俗を利用するのはなかなかにハードルが高い。早苗さんは、それをどうやって乗り越えたのだろうか。
Text:大泉りか
【過去記事はこちら】
第1回「女性用風俗のお客は『経験のない人』と『経験の豊富な人』に分かれる」女風(ジョフウ)の情報サイト編集長が語る「オトコを買う女たち」
第2回「女性風俗の客は120分の利用、一回の予算は2~3万円が多い」知られざる“女風”の世界で働く「男性セラピスト」の実態