「探偵」と、「不倫」「浮気」はどうしても切り離せない。「探偵の仕事」といえば、多くの方が「浮気調査」と連想してしまうのも現実のようだ。実際に、「浮気調査」を専門とする探偵社も少なくない。つまり、それだけ多くの「浮気」が巷に存在するのである。でも何故「この人と一生添い遂げたい」と願い、神前や教会等で永遠の愛を誓った夫婦間の「不倫」が後を絶たないのだろうか。私が探偵という仕事を通して見てきた数百の不倫カップルの全てに、ある共通点が見られる。
それは圧倒的な「親密感」と「幸福感」だ。今時の言い方をすれば、所謂「ラブラブ感」。 年齢、性別問わず、不倫カップルの「ラブラブ感」は、見ていてよだれがでるほど羨ましくなるときもある。お互いを愛しむような眼差し、共に過ごす限られた時間を精一杯味わおうとせんばかりに、意識が相手に集中している。
どちらかが相手をほったらかしにして、スマホに没頭するなんて事もない。 交わし合う満面の笑み、それはまるで、付き合い始めたばかりのカップルを見ているようなのだ。それは、これまで調査を通して見たどの不倫カップルにも感じ取れるものだ。
週4回、相手との愛の営みの時間を持つためにラブホテルに通う不倫カップル。真冬でも、相手を迎えるために、到着するまでマンションの非常階段の上で待つ不倫カップル。まるで学生の初恋のように、はにかんだ仕草を相手に見せる中年不倫カップル。
様々な不倫カップルに見られるような「ラブラブ感」が、果たして結婚後の夫婦間にはどのくらい有るのだろう。夫を上目遣いで愛おしそうに見る妻、一緒にいる時間の全ての意識と興味を妻に向け続ける夫、その様な夫婦関係であればきっと、「不倫」などとは無縁なのだろう。
しかし、現実には結婚を機に恋愛という感情は徐々に薄れる傾向にあり、出産を機にお互いが男と女ではなく、子どもの父親と母親になってしまう。日々当たり前になった家庭生活の中で、お互いを見つめ合う時間よりも、スマホを見つめる時間の方が長くなってしまう。
お互いを見て、ドキドキしたり、ときめいたりすることがなくなっていく。では、結婚後の男女が「不倫」するのは仕方にないことなのだろうか? 夫婦がずっと男女の仲であることは不可能なのだろうか?
次回では、結婚後の男女が不倫に走ってしまう心理について、数百の浮気調査のファイルから分析してみたい。
Text:児玉総合情報事務所 こころたまき