高峯つばささん(45)は、どうしても見栄を張ってしまう。例えば、後輩とのご飯は全額払うのが当然、友達へのプレゼントも安物は買えない。
「仕事していた頃の名残でしょうか。1人のときは確かにそれでもお金は回っていたんですが、最近はちょっとキツイなと感じることも多くて…」
つばささんの夫は倹約家である。無駄なものは買わない。「それ本当に必要?」これが彼の口癖だ。
「清々しいほど、何も買いません。ボロボロになったパジャマや下着を私が捨ててもゴミ箱から拾ってくるんです。外ではいい顔しているけれど、家ではなんだかみすぼらしくて…悲しくなっちゃいます」
高峯家では、夫が7割、つばささんが3割の割合で生活費を折半している。
「私が払っているのは光熱費と通信費、子どもの衣類代やお小遣い、そのほか日用品です。食費は夫から月に8万程度もらっていますが、高校生2人の食費…正直全然足りません。私が無駄使いしているとは思いませんが、あまりに倹約家なので足りないと言いにくくて……」
つばささんは、食べること、飲むことが大好き。それゆえ、エンゲル係数が上がりがちで、足りない食費は毎月自分のポケットマネーで支払っているという。
「長らく正社員として働いているので、そこそこお給料はもらっている方だと思うんですけどね」
事実、つばささんは大手化粧品メーカーに勤めている。勤続20年、完全にお局状態だ。
「女性が多い職場な分、見栄を張ってしまうというところがあるのかもしれません。だっていやでしょう?先輩が割り勘求めてきたり、しょぼいプレゼントしかくれなかったら」
ある年の年末、部下が退職や転職、部署移動と3人一気にいなくなることになった。つばささんはもちろん送別会を別の部下に企画させ、支払いを請け負った。

「カードで払いました。現金はなかったので。というかここ最近はずっと現金がない状態なんです」
つばささんは言いにくそうに、うつむきながら話し始めた。
「1年くらい前でしょうか。少し高いコートをカードで買ったんです。ところが次の月、子どもの卒業積み立てや冠婚葬祭、飲み会などが立て続けにあって、ちょっと支払いが難しくなって……」
支払いに困ったつばささんは状況を打破する術を見つけるが……。続きは後編で。
Text:女の事件簿調査チーム