■シフトノブはMT車同様に楽しさの演出でしか存在意義はない
前述したように、シフトノブがなくなることによるメリットは、いくつかあるが、なくなることによるデメリットは、あまりない。強いていえば、楽しさの演出がなくなることくらいだろう。
いまとなっては、シフトノブは、楽しさの演出でしか存在意義はない
5段以上の多段AT車で、シフトノブを左右に倒して前後方向でシフトアップ・ダウンを行う操作では、ちょっと昔のレーシングカーを運転しているかのような雰囲気もあり、パドルシフトとはまた違う面白さを味わうことができた。MT車同様に、AT車のシフトノブも、このような「楽しさ」を演出する意味でしか存在価値がなくなっていくだろう。
■シフトノブ以外にも、サイドミラーやサンバイザーなどが消える可能性が
シフトノブ以外にも、サイドミラーの代わりにデジタルアウターミラーが登場していたり、インナードアハンドルも、ハンドルでなく電子ラッチで開閉する(ハンドルも備わっているが)ようになっていたりと、技術の進化によって姿を消し始めたデバイスが増えてきている。いずれは、サンバイザーも調光機能のフロントガラスへ置き換わったりと、さらに消えてゆくアイテムも登場するはずだ。
レクサスESに搭載されている、デジタルアウターミラー。夜間や悪天候時も、視認性が抜群
フェラーリが、スタートスイッチをステアリングホイール上につけたように、いっそのこと、ギアセレクターもステアリングホイール上にレイアウトしてみてはどうかと思う。ハンドルから手を離さずにリバースなどへシフトできると、もっと運転が楽になるのではないだろうか。
技術の進歩は楽しみでもある反面、慣れ親しんだアイテムが消滅するという寂しい面もある。キーをひねってエンジンをかける、という操作も、運転好きには楽しいイベントだった。「クルマを運転する楽しさ」だけは、どこかで残ってほしいと思う。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:TOYOTA、NISSAN、LEXUS、Adobe Stock
Edit:Takashi Ogiyama
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