「彼の一番になりたい。私だけを見て。他の女を見ないで」
毒親から受けた制御不能の束縛心が動き出したのだろうか? 奈緒は和樹に、他の女の写真を使ってメッセージを送り続けた。
※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。
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近年、メディアだけでなく周囲でも「毒親」という言葉を耳にするようになった。毒親に育てられた子供は抑圧されていたせいか、インナーチャイルドやアダルトチルドレンの傾向が強いという。
その影響が一番強く出るのが恋愛をしているときだと経験者は語る。今回は、そんなアダルトチルドレンの傾向に悩む女性に話を訊いた。
「普通の恋愛がしたいだけなのに。いつもとにかく、私だけ見てほしいと必死だったんです……」
会社員の奈緒(仮名・30歳)は涙ながらに話す。
過干渉の母親と仕事で忙しい父親との間で育った奈緒は、若い頃から恋愛がうまくいかなかった。
学生の頃はもちろん、大学を卒業した後も母の過干渉は続いていた。
出かけるだけでも、誰とどこに行くのか執拗に聞き、相手の携帯電話の番号まで置いていかなければならないほど。もちろん一人暮らしも許されず、財布や携帯、持ち物のチェック、友人からの手紙なども見られ、交際するのにも相手を必ず母親に紹介しなければいけないという干渉ぶりだった。
父親といえば、仕事ばかりで学校行事にさえ参加することもないほど無関心。奈緒が大人になった今でもほとんど話もしない状況が続いている。
そんな偏った愛情の環境で育った奈緒は、彼氏ができると「彼の一番になりたい」という願望が強く、重すぎる愛を相手に押しつけてしまう。結果、長い付き合いができない女性になっていた。
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そんな奈緒も、20代に出会った彼とは結婚をし子供にも恵まれた。だが次第に喧嘩が絶えなくなり、子供が3歳の時に離婚。それからは奈緒が女手一つで仕事をしながら子供を育てている。
成長するにつれ子供は、父母子で仲睦まじげに過ごしている家族連れを羨ましそうに見ていることが増えた。そんな姿が気になるとともに、奈緒自身も恋愛をしたくなり出会い系サイトに登録したのだ。
数日経った夜、奈緒は自営業の和樹(仮名・32歳)と知り合った。この和樹との出会いによって、奈緒は自分でも予想外の行動に走っていく。
Text:女の事件簿調査チーム