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CAR 九島辰也のCAR STYLE

そろそろ海外旅行したいですよね。九島がついにイタリアへ…フェラーリ296GTS試乗レポ!

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オープンカーの運転席はエンジン音を楽しむ特等席

「嬉しいことにクーペを買われた方が、その後にオープンカーに乗り換えていらっしゃいます」

なんの話かというと、フェラーリユーザーの動向です。V8ミッドシップモデルについてですが、クーペを買った人の何人かはその後に追加されるスパイダーに乗り換えるというのです。なんて贅沢な話なんでしょう。両方オーナーとして体験するんですから羨ましい……。

ただ、冷静に考えればこの動きにそれほど金銭的な苦労はないかもしれません。先に出るクーペモデルを下取りに出すのですから少しの追い金で済むともいえます。少しといえでも数百万ですけどね。そもそもフェラーリを買える所得が前提ですから、“少し”の表現でいいかと思います。

さて、そんな慣例に則って屋根開きモデルが登場しました。296GTSです。先に世に出ているクーペボディのGTBに追従します。それにしても今回は名前がニクイ。GTBに対するGTSというのは、308や328の時代を思い出させます。フェラーリってブランドはたまにこういうことをするんですよね。昔のネーミングを持ち出して若かりし頃の心情に訴えるというか。“カリフォルニア”もそもそもは50年代の250GT系オープントップモデルへのオマージュです。

それはともかく、そんな296GTSを試乗しに10月初旬イタリアへ飛びました。およそ3年ぶりのヨーロッパです。フィンエアーでヘルシンキを経由し、ボローニャへ降り立ちました。フェラーリの本拠地マラネッロからも遠くないイタリアの玄関口です。

296GTSとの対面はこれで2度目となります。初見は鈴鹿サーキットで行われた“フェラーリ・レーシング・デイズ2022”。そこでジャパンプレミアが行われました。もちろん、見るだけ。その時驚いたのはトップを開けた状態でもミッドに積まれたエンジンが外から見えたこと。フェラーリに限らず多くのミッドシップモデルはクーペだと拝められますが、スパイダーになるとパワーソースが見えなくなります。そこがずっと残念に思えてたんですよね。

稼働するトップはアルミニウム製のリトラクタブルタイプで、ファブリックではありません。若干複雑な動きをし、14秒で頭の上に何もなくなります。キャビンへの風の進入は左右の窓を下げているとそれなりにありますが、上げれば問題なし。イタリアの高速道路“アウトストラーダ”の制限速度は時速130キロですが、想像以上に快適に走ります。フロントガラス上部の風はそのままキャビン後方へキレイに流されるのがエアロダイナミクスを担当した者のこだわりでしょう。この時後頭部の後にあるガラス窓を上げると、キャビン内部の空気はピタッとおさまります。

この時注目したいのがエンジン音。V6ツインターボが気持ちのいい乾いた高音を奏でます。開発陣が目指したのは自然吸気のV12エンジンの音。シリンダーはその半分、さらには過給器付きという難点ばかりですが、かなりそこに近づけました。実際低速ではV6とは思えない重厚な低音が響き、そこから一気に高音へと2.9リッターユニットが回っていきます。迫力は十分。細かい話をすれば過給器の音はしますけどね。まぁ、そこまでは消す必要はないと思います。

このエンジン音は明らかに296GTBとは異なります。オープンモデルのキャビンはエンジン音を楽しむ特等席。その意義をしっかり全うするため296GTSはセッティングされました。その点からも開発陣の屋根開きに対する強い志を感じます。

それじゃ実際に走るとどうかといえば、まさにワインディングマシン。ステアリングを切るとドライバーを中心にクルッと回るようにコーナーを次々こなしていきます。バッテリーパックを床下に積む重さは感じられません。それよりかV8よりも50mm短くなったホイールベースが鼻先の向きを気持ちよく変えます。また、ブレーキが秀逸なのも特筆すべきポイント。SF90と共有するその威力はハンパありません。確実にガツンと止めることで、アクセルをよりハードに踏み込むことができます。もはや屋根空きだからのんびり流すなんてのはおとぎ話でしかありませんね。

とはいえ、オープンカーはやはり見せるモデルでもあります。髪型や着るものにもこだわってお乗りください。周りは見てないふりして見てますから。それになんたってフェラーリですから。これを機会にバシッとかっこよくキメちゃってくださいませ。



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