昭和・平成・令和をまたぐVIPな名車シーマの歴史
日産のフラッグシップセダンであったシーマ(CIMA)がついに終売。春先に日産が「2022年8月末までに生産を終了する」と予告していたとはいえ寂しい限りです。初代シーマ(FY31型)は1988年(昭和63年)にクラウンのワイドボディ化に対抗し、新規モデルとして3LのV6エンジン(同排気量でターボとNAを設定)を搭載しデビュー。当初は販売チャンネルの事情からセドリック・シーマ/グロリア・シーマの名で販売されます。
バブル期の超絶人気ぶりから“シーマ現象”などと語られることの多いシーマですが、その引き金は1989年(平成元年)に施行された自動車税の改正です。
なんせ毎年やってくる自動車税が8万1500円から5万1000円へと一気に引き下げられたのですから皆大喜び。差額の3万500円ってお父さんの1か月分のお小遣いレベル。でもね、浮いたお金を車両代につぎ込むんですから世の中イケイケでした。
1991年(平成3年)、シーマを作るベース車のセドリック/グロリアのモデルチェンジの関係で生産開始からわずか3年あまりでモデルチェンジを迎え2代目モデル(FY32型)が登場します。大枠のフォルムで見れば格下のセドリック/グロリアと似ていたためか、爆発的人気は続かず、話題は4LのV8エンジンを搭載し世界一の静粛性をもつトヨタ・セルシオの方へ。これに対しシーマも4.
一方、余談ながら売れまくった初代シーマは中古車市場で人気車に。この手の高級セダンの常ですが、若い少年たちから2度目、3度目の愛をうけ立派なDQN号に転生。VIPな気分が味わえる名車としてもう一つの伝説を残します。
1996年(平成8年)夏、3代目モデル(FY33型)へと
ワタシが社畜時代、じつはこの3代目シーマの報道試乗会に参加していたのですが、会場だったリゾートホテルのベーカリーの若い女性スタッフが「これ、新しいシーマですか? カッコいいですぅ~」と駆け寄ってきました。「よっかったら座ってみませんか?」というと、「いいんですか? うわ~凄い!」と大はしゃぎ。この瞬間“シーマの神通力健在なり!”を実感したのでした。