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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE うつわのことを教えて、ひさこ先生!

【震災を機に】一念発起して、木工作家となった吉川和人さんの決断とは?

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コロナの影響で家での時間が多くなったことも影響し、今、うつわがブームです。盛り上がってるので気にはなるけど、実際どんな作家のどんなアイテムを買ったらいいのか、イマイチ分からない…。そこで、さまざまな土地を巡ってたくさんの作家に会い、新宿伊勢丹では不定期にて催事を企画・キュレーションしている行方ひさこ先生に、どんなうつわを手に入れたら良いかをレクチャーして頂き、注目の作家とともに紹介していきます。

新卒でカッシーナに入社。12年勤めた後、森林文化アカデミーで2年学び、木工作家に転身!

ひさこ先生:土を使った陶芸家さんが続いたので、今回は木工作家って、いかがですか?

FORZA STYLE:いいですねぇ。じつは好きな作家さんがいるんですよ!

ひさこ先生:どなたですか?

FORZA STYLE:吉川和人さんなんですが、じつはスプーンなどを愛用してます。

ひさこ先生:なんと! 今回お邪魔しようと思っていた方です。工房を移られて、新スペースで活動し始めたそうなので、お邪魔してみましょうか。

東京郊外にある、吉川和人さんの工房へ

FORZA STYLE:今回、工房を移転なさったそうですが、以前の作業スペースが手狭になったのが理由でしょうか?

吉川和人:あのスペースは元々大工さんの作業場だったので、しっかりしてるのは屋根だけで、一年中解放された状態でした。天井も6mあってエアコンもまったく機能しなくて…、真夏も真冬も外気温下で作業するような状況だったんです。

ひさこ先生:それは相当ハードですね…。

吉川和人:その点ここはドアを閉められますし、工業用の電気も引いてあったので使いやすくて、移転してきました。

FORZA STYLE:前回のスペースでは、何年ほど作業なさったんですか?

吉川和人:4年くらいでしたね。真冬で寒いと塗料が乾かなかったり、接着剤も固まらないので、そこにテント貼って、そのまわりだけ暖房つけたりして必死に作業する日々でした。

ひさこ先生:もちろんご自身も寒いですよね?

吉川和人:身体中にカイロを貼って、それにダウン着て作業してました。身体的にもキツいし、製作が進まなくなってしまうのが大問題でした。

現在は、ここに加えて三重県に体育館2つ分くらいの広いスペースも借りられたので、巨大な材料を収納したり、大きい家具などを作るときは、そちらを使ってます。

FORZA STYLE:だいぶ製作しやすい環境になってきたんですね。それではあらためて、吉川さんが木工作家になられた経緯をお訊きしたく。新卒でカッシーナ(・イクスシー)に入社されるんでしたよね?

吉川和人:カッシーナでスタートしました。元々美術とかプロダクトが好きで、大学のときは美術のサークルで絵とか陶芸にも勤しんでいましたし、本当はそちらの道に進みたかったんで、じつは大学卒業後に美大を目指そうと思って、予備校に通ったほどです。

ひさこ先生:え? 知りませんでした。

吉川和人:その一方で、大学の卒業旅行で海外をまわったときに訪れたパリのポンピドゥー・センターでル・コルビュジエのソファを見かけて感銘を受けてもいました。そのときは知らなかったんですけど、裏を見たら”カッシーナ”の刻印があって、その存在を知り、会社にも興味を持ち始めていました。新卒の際に募集を見つけたので受けたら、運良く入社することができました。

FORZA STYLE:少し遡らせて頂くと、大学は慶応に通われましたよね? 慶応大学を選んだ基準はなんだったんですか?

吉川和人:僕が高校生になった90年代にブランドビジネスというものが隆盛しはじめて、マーケティングというジャンルにも興味が湧き始めました。

当時、日本テレビの深夜番組、三宅裕司さんがMCをつとめた『EXテレビ』をよく観ていました。その月曜日のコメンテーターに日本のマーケティング論の第一人者であった慶應大学商学部の教授である村田昭治さんという、おもしろい先生が出演していたんです。その方が好きで、講義を受けたいと思って、慶應大学商学部を目指したんです。

ひさこ先生:美大と迷って、マーケティングの側に進んだわけですね。

吉川和人:なぜ人はキレイなものに惹かれるんだろうという、アートやプロダクト、グラフィックも含めて、何が人の心にどう影響するのか? を知りたかった。また、ブランドの場合なら背景的な話も存在すると思うんですが、ストーリーを世に知らしめられるメーカーと、そうでないメーカーの違いが何なのかなどにも興味が湧いて、そちらを学んでみることにしました。



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