裕二は、それにしても……と考えた。
アキラがいくら女癖が悪いとは言っても、親友の妻にまで簡単に手を出すような奴だったろうか?
そして、身ごもった詩織を簡単に捨てるような奴だったか?
ふと、昔の仲間の誰かの言葉が頭に浮かんだ。
「アキラは変わった……」と。
起業した会社が成功し、手に入れた金銭的な自由は、アキラを傲慢な人間へと変えてしまったのだろうか?
そして、トオルとの平凡な生活を退屈に感じていた詩織にとって、アキラの存在はまぶしい隣の芝生に映ったのだろうか?
©︎gettyimages
やさしい夫と可愛い子ども達。詩織にとって、自分が手にしていた幸せは、簡単に捨ててしまえるようなものだったのだろうか?
現在、トオルはアキラと詩織を相手取って裁判の準備を進めている。
詩織は実の両親の元で暮らしているが、電話越しでやりとりをする義理の両親は、心労のあまり二人とも体を壊しているそうだ。子供たち二人には、ママの裏切りを告げられるハズもない。
「ママはコロナをこじらせて入院している」と、子供にもすぐにバレそうな苦しい嘘を、トオルはいまもつきつづけているという。
Text:FORZA STYLE
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