「でも、当時は看護や日々の生活で手いっぱいで、夫に説明するような余裕がなかった私。少しだけ申し訳なかったなという気持ちにもなり、自然と『ごめんね』という言葉を発していました。夫は面食らっていましたが、目からは大粒の涙が……。そして顔をくしゃくしゃにしながら泣きじゃくりだしたんです。『ごめんね、ごめんね』と何度も言いながら。
私に言っていたのか、それとも洋一に言っていたのか……。あまりにくしゃくしゃの顔だったので、思わず私が笑ってしまいました」
その日を境に、定期的に会うようになった公子さんとご主人。
「洋一が私たちを再会させてくれたんだと感じています。パパ、ママ仲良くしてねって。『でも、洋一、ママね、離婚届出してないのよ。パパは離婚したと思っているけど……どうしよう(笑)』。いつ彼に言いだそうかタイミングを見計らっているところなんです」
子どもを亡くした公子さんの深い哀しみは、決して癒えることはない。それでも「自分ができることをすること、懸命に生きることで、洋一の生きてきた意味がある」と信じながら、今日も生きているーー。
Text:女の事件簿調査チーム
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