■レンジエクステンダーの追加が起死回生のチャンスになるのか!?
しかし、このMX-30 EV MODELの弱点を解決すると期待されているのが、間もなく追加されるとされている「ロータリーエンジンのレンジエクステンダー」搭載車です。
「レンジエクステンダー」とは、バッテリーEVの航続距離を伸ばす目的で搭載される小型の発電機のこと。日産の「e-POWER」と似ていますが、レンジエクステンダーはあくまでも補助的な役割で搭載されるもので、次の充電ポイントまで走行するためのエマージェンシー的要素と捉えてもいいと思います。そのためエンジンも燃料タンクもかなり小さいものが搭載されます。
MX-30に搭載されるのは330ccのシングルローターのロータリーエンジンで、これによって後続距離を約400kmまで延ばすことが可能だといいます。山道などを伴う長距離移動ではかなり心強い距離になりますね。また発電用エンジンとはいえ、2012年から途絶えていたマツダのロータリーエンジンが復活することから、ファンとしては気になる存在ではあります。
価格は「EV MODEL」のベーシックなモデル(451万円)より高くなることが予想され、おそらく500万円近くといった設定となるでしょう。レンジエクステンダー搭載のバッテリーEVとはいえ、このクラスのSUVとしてはかなり高額であり、ライバルを圧倒できるとはちょっと考えにくいというのが現実的な意見でしょうか。
■まとめ
「意識高い系SUV」のMX-30が、マツダの至宝ロータリーエンジンを武器に航続距離問題を解消していけば、MX-30が爆発的に売れなくても、今後のマツダの電動化戦略におけるメッセージとして強烈なインパクトを放つことは間違いありません。
ただ、このMX-30よりも、マツダの最量販SUVである「CX-5」に、真っ先にレンジエクステンダーEVを設定してほしい、と考えます。このCX-5を筆頭に、マツダのスモール群のクルマたちへ一斉にレンジエクステンダー版を追加登場させれば、これまで電動車開発で後れを取っていたマツダのイメージを、一発で払拭できるかもしれません。マツダの今後の動向に注目ですね。
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:MAZDA
Edit:Ogiyama Takashi