ピロッツィのハウスタイルに準じたチェスターフィールドコートなんですが、ポケットのシルエットが独特。上蓋的に付けないフラップも珍しいし、とくに丸いシルエットを描いているのもポイントでしょうか。
前回アットリーニのコートを手放した話をしましたが、このコートを手に入れてしまったのが、その要因。アットリーニを手放してしまっても良いと思えるほど納得できる逸品だったのが伝わるのではないでしょうか。
ちなみに、イタリアのサルトや洋服関係者に「泉はドコの着てんだ」と聞かれた際、「ピロッツィ」と答えると、ナポリのピロッツィに２人いるんで、「キアイア通りのピロッツィか、サンナザーロ広場のピロッツィか、どっちだ？」と重ねられるんですが、「広場のピロッツィ」と言うと必ずのように「No.１だ」って答えてきます。
現キートン（KITON）の社長トトもピロッツィの腕を認めるほど、この方の作りはハンパないですね。このコートも、きっと手放すことはないですね」。
諸澤 泉
ファッションディレクター
某DCブランドのアルバイト販売員としてファッション業界でのキャリアをスタート。一時期は地元栃木へ戻って資材商社で働いたものの、再度業界に戻り、栃木縫製で営業職に。その後、独立した上司についていく形で、海外生産の開拓に従事。頻繁に中国やイタリアを訪れた経験を活かして、独立後は商社やストラスブルゴと契約し、ファッションディレクターとして活躍する。1967年生まれ。
Photo：Shimpei Suzuki
Edit：Ryutaro Yanaka
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