人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。
ウィメンズの工場ですが、シャツは良かったので いつか商品化を
生産の現場を見つめ続けるとともに、自身で幾度となくイタリアを訪れて飛び込みで開拓。たくさんの身銭を切ってサルトで仕立て、知見を広げてきたファッションディレクターの諸澤 泉さん。
知識と経験に基づき、たくさんの服を手に入れてきた諸澤さんが、中でも思い入れが強くて捨てられなかったアイテムをご紹介する企画の第9回目は、サンロレンツォ(Sanlorenzo)のシャツです。
「このシャツには思い出が詰まってまして。イタリアで生産できる工場を探し回ってるとき、"シチリアで仕事をしたいな"と思い、何度も足繁く通って見つけた工場で作って貰ったシャツのサンプルです。
残念ながら、結果的には仕事にならなかったんですが、すごく良い応対をしてくれたんです。
場所はパレルモとメッシーナの中間くらい、海から山に登っていくエリアにある工場で、海の幸にも山の幸にも恵まれた最高の立地。
田舎だから工場とレストランと託児所が一緒になっていて、そこで提供されるのは いわゆる工場飯だったんですけど、どれも絶品でした。
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